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人間界の病が家族の一員ペットにまで...

2017年8月28日 11:02

みなさんこんにちは 

医療法人社団つじむら歯科医院 理事長の辻村傑(ツジムラ スグロ)です。

 

虫歯と歯周病菌は根本的に質が違いますが、感染時期は実は一緒で、虫歯は早い時期から発症するのに対し、歯周病は虫歯よりも発症するのが遅いのではないか、というのが私なりの解釈です。そのため、歯周病の症状がないお子さんや若い方であっても、どこかのタイミングで一度検査をして歯周病菌の有無を確認し、もし歯周病菌が発見されたら、できるだけ早急に口腔内の細菌叢を悪玉菌の少ない状態にリセットしてあげることが必要です。

症状が出てから対処するのではなく、症状が出る前に細菌レベルでコントロールした方が、その後の予防の効果も高く、結果として治療をしなくても済むのです。

さて、歯周病は子どもよりも大人に多い病気ですが、たまに中学生くらいの方が、簡易的な検査を受けたいと来院されることもあります。当院でも当初は子どもを診ることはほとんどなく、歯周病の検査は、基本的に20歳以上を対象にしていました。ところが親が歯周病を患っていると、必ずといっていいほど子どもにも感染してしまっていることが分かってきたため、ある時期から、子どもの歯周病検査も行うようになりました。家庭内感染するケースが非常に多いからです。

それには家族の一員であるペットとの接触にも気をつけなければなりません。

よく「犬や猫などペットとマウス・トゥー・マウスでペロペロするとペットから悪い菌が感染するのでは」といった心配を聞くことがあります。しかし、歯周病菌に関しては、親から子どもへと感染しないよう気をつけなければいけないのと同様に、人間からペットへ感染しないように気をつける必要があるのです。

 一昔前は、ペットの歯周病はそれほど深刻化していませんでしたが、今はペットが歯周病にかかってしまい苦労しているという話をよく聞きます。今、ペットの歯周病が増えているという状況は、もともと人間界の病であったものが、人間と一緒に暮らすペットにまで感染が広がっているからだと考えられます。その証拠に、野生の動物が死んだときに口の中を調べてみると、歯周病や虫歯に罹患している動物はほとんどいません。

 ちなみに当院で「トータルヘルス・プログラム」が終了した際にお配りする今後の注意事項の用紙には「ペットからの再感染に気をつけてください」と明記しています。それは「トータルヘルス・プログラム」を受ける以前に患者さんからペットへと感染した菌が、今度は逆にペットから患者さんに戻ってきてしまうからなのです。

 また、多くの獣医さんはペットの心臓疾患と歯周病の関係を非常に明確にしていて、「心臓疾患の原因は歯周病です。心臓疾患を引き起こさないためには、定期的に必ず歯をクリーニングしましょう」と呼びかけています。

 日本の歯科医師には、そのようなことを明言している方はあまり多くいません。その点については獣医さんのほうがよく理解されているので、心臓病のペットを診るときには、必ず口腔内をチェックしています。そして、もし歯周病にかかっている歯があったら、心臓のオペをする前に、歯周病にかかった歯を感染源になっているからという理由で抜いています。

 私が知る獣医さんが言うには、犬の歯に歯石などがついて歯ぐきから膿が出てくる、急に食欲がなくなったという場合、大体は歯周病だそうです。また、歯周病を患うと犬でもかなり口臭が出るらしく、犬の口臭をなくすために歯周病治療をする飼い主もいるそうです。

 人間の場合であれば、たとえ自分の歯がなくなってしまっても入れ歯やインプラントなどがありますが、ペットの場合そうはいきません。動物は自分の歯がなくなってしまったら、肉などの餌もかめなくなってしまい、最悪の場合、死につながります。もしあなたのペットが歯周病に罹っている可能性があれば、早めに治療することをお勧めします。

 ペットの歯周病治療は家庭内感染を防ぐだけでなく、家族の一員であるペットの命を守ることでもあるのです。

 

辻村 傑

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