Q1. 矯正って必要?
「歯並びは気になるけれど、矯正までは…」そんなお悩みを抱えていませんか?実は歯並びの問題は見た目だけでなく、健康にも深く関係しています。
なぜ矯正治療が必要なの?
矯正治療とは、歯並びや噛み合わせの乱れを改善することで、お口全体の機能を正しく整える医療行為です。歯がガタガタに並んでいると、歯みがきがしづらくなり、汚れが溜まりやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
また、かみ合わせが悪いままだと、咀嚼効率が下がって消化器官に負担をかけたり、発音に影響を与えたりすることもあります。
さらに、大人に多い「顎関節症」や「肩こり」「頭痛」なども、噛み合わせの乱れが一因であることが少なくありません。
矯正治療は単に見た目を整えるだけでなく、将来のお口の健康を守るためにも重要な選択肢なのです。
矯正歯科治療のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
見た目だけじゃない、歯並びが与える健康への影響
「見た目が気になるから矯正する」という方は多いですが、実は健康面でもメリットが多くあります。
たとえば前歯が突出している「出っ歯」では口が閉じにくくなり、口呼吸が常態化することで口腔内が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなります。
開咬(上下の歯が噛み合わない状態)の場合は食べ物をしっかり噛めないため、消化不良を起こすこともあります。
また、歯が重なり合っている場所は歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病になりやすくなります。
このように歯並びの乱れは、全身の不調も関係してくるのです。
矯正が必要かどうか、判断するタイミングとは
「今すぐ矯正が必要なのか分からない」という方も多いと思います。
歯並びや噛み合わせに少しでも違和感を覚えたら、まずは矯正専門医の診察を受けることが大切です。
特に子どもの場合は、永久歯が生えそろう前にチェックを受けることで、成長を利用した負担の少ない治療が可能になることもあります。
また、大人の方でも矯正治療は十分に可能で、近年ではマウスピース矯正など目立ちにくい選択肢も広がっています。
矯正が必要かも?セルフチェックリスト
次のような項目に当てはまる方は、一度専門医に相談するのがおすすめです。
- □ 歯がガタガタ・重なっていて磨きにくい
- □ 上下の前歯がきちんと噛み合わない(開咬)
- □ 前歯が極端に出ている(出っ歯)
- □ 下あごが前に出ている(受け口・反対咬合)
- □ 口を閉じにくく、いつも口呼吸になっている
- □ 食べ物が噛みにくい/よく頬を噛んでしまう
- □ 発音が不明瞭になりやすい
- □ 子どもの乳歯の生え変わりが不規則
- □ 顎や肩が疲れやすく、頭痛が起こることがある
ひとつでも当てはまれば、矯正治療が有効な可能性があります。
まずは気軽に初診相談を受けてみませんか?
Q2. 矯正治療を始めるには何からすればいいの?
矯正治療を始めるには、まずどんな準備が必要なのでしょうか?カウンセリングから診断までの流れを把握することで、不安を解消し、安心して一歩を踏み出すことができます。
初診カウンセリングではどんなことをするの??
初診では、歯科医師が現在の歯並びやかみ合わせの状態を確認し、患者の主訴や治療への希望をヒアリングします。
見た目の改善を望むのか、咀嚼や発音など機能面の改善を重視しているのかなど、目的によって治療方針は異なるため、最初のコミュニケーションは非常に重要です。
鏡を使った口腔内のチェックや、必要に応じて簡易的な写真撮影が行われることもあります。
この段階では治療開始ではなく、あくまで「情報収集」と「相談」がメインです。
カウンセリングで聞かれること・聞いておきたいこと
カウンセリングでは、これまでの歯科治療歴、現在の健康状態、アレルギーの有無、治療に対する不安や希望などを質問されることがあります。
また、矯正装置の見た目や費用、通院頻度、仕事や学校との両立に関する不安を感じている方は、このタイミングで率直に相談することが大切です。
特に成人矯正では「目立たない装置にしたい」「なるべく短期間で終えたい」といったニーズも多いため、要望は明確に伝えておくと良いでしょう。
逆に患者側からも「治療期間はどのくらい?」「抜歯は必要?」「装置は選べる?」など、具体的に質問しておくことで、後のギャップを防げます。
精密検査や診断の流れと費用目安
初診相談の後、治療を希望する場合は「精密検査」に進みます。
検査内容には、口腔内写真、顔貌写真、レントゲン(パノラマ・セファログラム)、歯型の採取(口腔内スキャンまたは印象材)などが含まれます。
これらのデータを基にして、上下のあごの位置関係や歯の傾き、顎関節の状態などを詳細に分析し、個別の診断と治療計画が作成されます。
精密検査の費用はクリニックによって異なりますが、一般的には3〜5万円程度が相場です。
また、診断結果の説明は1〜2週間後に改めて行われるのが一般的で、その際に治療方法、期間、費用の見積もりなどが提示されます。
治療に入る前に、こうした診断プロセスがしっかりと行われることで、患者自身も治療の全体像を把握し、納得して治療に進むことができます。
Q3. どんな種類の矯正装置があるの?
矯正治療にはさまざまな方法があり、装置の種類や治療スタイルによって費用や見た目、治療期間などが大きく変わります。自分に合った方法を知ることが、満足のいく治療への第一歩です。
矯正装置にはどんな種類がある?
現在の矯正治療では、大きく分けて「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」の2種類が主流です。
ワイヤー矯正は、歯の表面または裏側にブラケットとワイヤーを装着して、力を加えながら歯を動かしていく従来型の方法です。
一方、マウスピース矯正は、透明な取り外し可能な装置(アライナー)を一定期間ごとに交換しながら歯を少しずつ動かしていく治療法です。
また、見た目や装着感に配慮した「舌側矯正(裏側矯正)」や、小児矯正で用いられる「床矯正(しょうきょうせい)」などもあります。
患者の年齢や口腔内の状態、生活スタイルに応じて適した方法は異なります。
矯正装置を比較したい!一覧で教えて
矯正装置の比較一覧
項目 | ワイヤー矯正 | マウスピース矯正(例:インビザライン) | 舌側矯正(裏側) |
---|---|---|---|
見た目の目立ちにくさ | △(やや目立つ) | ◎(ほとんど目立たない) | ○(外から見えない) |
取り外し | ×(固定式) | ◎(自分で外せる) | ×(固定式) |
清掃のしやすさ | △(工夫が必要) | ◎(外して磨ける) | △(難易度高め) |
適応範囲 | ◎(ほぼ全症例対応) | △(軽度〜中等度まで) | ○(中等度まで) |
費用の目安 | 70〜100万円前後 | 80〜120万円前後 | 100〜150万円以上 |
ワイヤー矯正は、あらゆる歯並びの症例に対応できる点が最大の特徴です。
特に難症例や大きな移動が必要な場合には、高いコントロール力を発揮します。
ブラケットやワイヤーが目立つことはデメリットですが、近年では白や透明の目立ちにくい素材も登場しており、見た目への配慮も進んでいます。
一方、マウスピース矯正(代表的なものにインビザラインがあります)は、装着中でも目立ちにくく、食事や歯みがきの際に取り外しが可能です。
清潔を保ちやすく、ライフスタイルを大きく変えずに治療できる点が魅力です。
ただし、自己管理が必要で、1日20時間以上の装着が求められます。
また、症例によっては適応外となる場合もあるため、事前の診断が重要です。
矯正装置の種類について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
自分に合った治療法を選ぶポイント
「できるだけ目立たないように治したい」「短期間で終わらせたい」「取り外し可能な装置がいい」など、矯正に求めるものは人によってさまざまです。
治療法を選ぶ際には、見た目・快適さ・治療期間・費用・適応症例の5つの観点から比較することが大切です。
また、成人矯正と子どもの矯正では選べる装置の種類や治療方針にも違いがあります。
大人の場合は審美性や通勤・仕事への配慮を重視するケースが多く、マウスピースや舌側矯正が選ばれることがあります。
一方で子どもは、成長を利用した治療が可能なため、固定式でない装置が使われることもあります。
最適な装置は「どれが優れているか」ではなく、「その人のライフスタイルや歯の状態に合っているか」で決まります。
矯正装置の違いを正しく理解し、自分の希望や条件に合わせた治療法を選ぶことで、満足度の高い矯正治療を実現することができます。
症例をご覧ください!
Q4. 矯正治療ってどれくらいお金がかかるの?
矯正治療は保険が効かない自由診療が基本となるため、「どれくらいお金がかかるの?」という不安は多くの方に共通します。ここでは費用の目安や支払い方法、補助制度などについて詳しく解説します。
矯正治療にはどれくらいの費用がかかる?
矯正治療の費用は、使用する装置の種類や治療の難易度、治療期間、医院の方針などによって異なります。
一般的には、全体矯正(上下すべての歯を対象とした治療)で60万〜120万円程度が相場とされています。
部分矯正(前歯など一部の歯に限定した矯正)は、20万〜50万円程度と、範囲が狭い分費用も抑えられる傾向にあります。
このほかに、初診相談料(無料〜5,000円程度)、精密検査料(2万〜5万円)、装置の調整料(月5,000〜8,000円)、保定装置代(2万〜5万円)など、治療開始後にも継続的な費用がかかることがあります。
トータルで見積もっておくことが大切です。
保険は使える?医療費控除の対象になる?
基本的に矯正治療は自由診療であるため、健康保険は適用されません。
ただし、次のようなケースでは保険適用となる場合があります。
- ・顎変形症などの「外科的矯正治療」が必要な場合(指定自立支援医療機関での治療に限る)
- ・唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)など、特定の先天異常に伴う矯正治療
- ・小児の成長発育に悪影響を及ぼす明確な医療的必要があると判断された場合
一方で、自由診療であっても「医師が必要と認めた矯正治療」は医療費控除の対象になることがあります。
1年間(1月〜12月)にかかった医療費の合計が一定額を超えると、所得税の一部が戻ってくる制度です。
対象となる費用には、治療費のほか通院のための交通費も含まれます。
確定申告時には領収書の保管を忘れずに行いましょう。
分割払い・デンタルローンは利用できる?
高額になりがちな矯正治療費ですが、多くの歯科医院では分割払いに対応しています。
自費診療専用のデンタルローンを利用すれば、月々数千円からの返済で治療をスタートすることも可能です。
デンタルローンは信販会社と提携している医院で申し込める仕組みで、金利や審査内容は金融機関によって異なります。
また、医院によっては「金利なしの院内分割」を提供しているケースもあります。
たとえば「初回に契約金を支払い、残りを12回払いで対応」といった柔軟なプランが用意されていることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
支払いの不安を減らすためには、最初に提示された見積もりだけでなく、トータルでかかる費用の内訳を明確に確認しておくことが大切です。
装置代のほか、調整料・保定装置費用・再診料などを合わせた総額を把握することで、「こんなにかかるとは思わなかった」という事態を防ぐことができます。
Q5. 年齢制限はあるの?
「矯正治療は子どものうちにしかできない」「大人になったら遅いのでは?」そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。実際には、矯正治療は年齢に関係なく受けることができ、年代ごとに異なるメリットがあります。
子どもと大人の矯正治療の違いとは?
矯正治療は、患者の年齢によってアプローチが異なります。
子どもの矯正(Ⅰ期治療)は、あごの成長を利用して骨格や歯列のバランスを整えることが主な目的です。
永久歯が生えそろう前に始めることで、抜歯や本格的な矯正を回避できるケースもあります。
特に、指しゃぶりや口呼吸、早期の乳歯喪失などがある場合には、成長を見据えた早期の対応が重要です。
一方、大人の矯正(Ⅱ期治療)では、すでに成長が完了しているため、歯を動かす力を調整しながら慎重に進めていきます。
骨格の成長を利用することはできませんが、確実な治療結果が得られる点や、審美性・機能性への意識が高いため、治療へのモチベーションが保ちやすいという特徴もあります。
大人になってからでも間に合う?
「矯正治療は子どものうちに済ませるもの」という考え方は過去のものとなりつつあります。
近年では、20代〜50代以降でも矯正を始める方が増えており、60代で治療を開始するケースも珍しくありません。
大人の矯正は歯や歯ぐきの状態に問題がなければ、年齢に関係なく治療可能です。
特に社会人になってからは、営業職や接客業など「口元の印象」が職業的に重要視される場面も多く、見た目の改善を目的に矯正を始める方が増加しています。
また、歯周病や咬合崩壊の予防・改善を目的に、機能面から矯正を選択する中高年層の患者も増えています。
成長期を活かした治療と成人矯正の特性
子どもの矯正では、あごの成長をコントロールすることで将来的な歯の位置やスペース不足を予防できます。
特に、骨格的なズレ(出っ歯、受け口など)がある場合には、成長期に対応することで抜歯や手術を回避できることもあります。
これは、大人の矯正では得られない大きなメリットです。
一方で、大人の矯正では患者自身が治療に積極的であるケースが多く、ケアの意識が高いため、良好な治療結果につながる傾向があります。
また、マウスピース矯正や舌側矯正といった目立ちにくい装置の選択肢が豊富である点も、成人矯正の大きな魅力です。
さらに、矯正治療を通じて歯並びが整うことで、ブラッシングがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが下がるといった予防効果も期待できます。
歯の寿命を延ばすことを目的に、大人になってから矯正を選ぶという考え方も、近年では当たり前になっています。
Q6. 矯正治療って痛い?日常生活に支障はないの?
「矯正治療って痛いの?」「普段の生活に支障はある?」――矯正を始める前に気になるのが、治療による痛みや生活への影響です。ここでは、治療中によくある症状や、食事・歯みがき・仕事・趣味などへの影響について詳しく解説します。
矯正治療って痛いの?
矯正治療で感じる痛みには、2つのタイプがあります。
ひとつは装置を装着した直後や、調整後に起きる「歯の移動による痛み」です。これは歯が骨の中を動く過程で生じる自然な反応で、個人差はあるものの、2〜3日で徐々に落ち着くことがほとんどです。
特に食事の際に「噛むと痛い」と感じやすく、柔らかいものを選ぶ方も多いです。
もうひとつは、装置が口腔内に当たって起こる「物理的な刺激による痛み」です。
ワイヤーが唇や頬の内側に擦れて口内炎ができることがありますが、保護用のワックスや口腔内用ジェルを使うことで症状は軽減できます。
マウスピース矯正の場合は金属が当たることがないため、この点では負担が少ないと言えるでしょう。
食事や歯みがきはどう変わる?
矯正中の食事では、装置に負担をかけないように硬いもの・粘着性の強いものは控える必要があります。
特にワイヤー矯正の場合、飴・ガム・せんべい・ナッツ類などは装置を壊す原因となるため注意が必要です。
また、食べ物が装置に詰まりやすいため、食後の歯みがきはこれまで以上に丁寧に行う必要があります。
歯みがきの際には、矯正専用の歯ブラシやワンタフトブラシ、歯間ブラシを併用すると効果的です。
矯正中は虫歯や歯周病のリスクが高まるため、フッ素入り歯みがき剤や洗口液などを活用して、清潔な口腔環境を保つことが大切です。
マウスピース矯正の場合は食事の際に装置を外すことができるため、基本的にはこれまで通りの食生活が可能です。
ただし、装着時間(1日20時間以上)を守らないと治療効果が落ちるため、自己管理が重要になります。
スポーツや楽器、仕事への影響は?
スポーツや吹奏楽器などを日常的に行っている方にとっては、矯正装置による影響も気になるポイントです。
ワイヤー矯正では、接触の多いスポーツ(ラグビー、バスケットボールなど)ではマウスガードの着用が推奨されることがあります。
また、金管楽器・木管楽器を吹く場合、口元の装着物が影響することもあるため、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。
一方、マウスピース矯正では取り外しが可能なため、楽器演奏や大切な発表の場面では一時的に外すことができるという柔軟性があります。
ただし、外している時間が長くなると治療期間が延びる可能性があるため、計画的な管理が求められます。
また、仕事においても接客業や営業職の方は「装置の見た目」が気になるかもしれません。
マウスピース矯正や舌側矯正(裏側からの装着)を選べば、周囲に気づかれずに治療を進めることも可能です。
日常生活との両立を重視する方には、装置の種類選びが大きなカギになります。
Q7. 治療期間ってどのくらい?
矯正治療を検討するうえで「どれくらい通えばいいの?」「いつまでに終わるの?」という治療期間に関する疑問はつきものです。治療の目安や通院ペース、期間が延びるケースについて解説します。
矯正治療にかかる期間の目安
矯正治療の期間は患者さんの年齢、症例の複雑さ、治療法などによって異なりますが、全体矯正では一般的に1年半〜3年程度が目安とされています。
歯を少しずつ動かすため、即効性はありませんが、その分確実で安全な治療が可能です。
部分矯正(前歯だけ、片側だけなど)の場合は、6か月〜1年以内で完了するケースもあります。
特に軽度のがたつきやすき間の改善を目的とする場合は、比較的短期間で結果が出やすいのが特徴です。
ただし、歯を動かすだけでなく、動かした後に歯並びを安定させる「保定期間」が1〜2年ほど必要です。
治療そのものは終わっていても、この期間にきちんと保定装置(リテーナー)を使用することで、歯並びの後戻りを防ぐことができます。
治療が長引くケースとその理由
矯正治療が予定よりも長引いてしまうケースにはいくつかの原因があります。
もっとも多いのが患者側の装置使用時間不足や通院の遅れです。
特にマウスピース矯正では、1日20〜22時間の装着が求められるため、装着時間が短いと歯が計画通りに動かず、治療が遅延することになります。
また、装置の破損やトラブルにより、予定外の再調整や修理が必要になることもあります。
歯ぐきの状態が悪く、歯周病が進行している場合には、先に歯周病治療を行ってから矯正を再開することになるため、その分の時間が追加されることもあります。
さらに、成長途中の子どもの矯正では、あごの発育を見ながら段階的に治療を進める必要があるため、一時的に治療を中断して経過観察を行う期間が入ることもあります。
定期通院の頻度とスケジュール例
矯正治療中は、通常1か月に1回程度の通院が必要です。
ワイヤー矯正では歯にかける力の調整、マウスピース矯正では新しいアライナーの受け取りと経過確認を行います。
調整を怠ると、歯が正しく動かず、結果として治療の質や期間に影響を及ぼす可能性があります。
通院スケジュールは以下のような流れが一般的です。
- 1.初診相談・精密検査
- 2.治療計画説明・装置装着
- 3.月1回の調整またはマウスピース交換
- 4.治療終了後に保定装置装着(1〜2年)
- 5.年2〜3回の定期観察(保定期間)
矯正治療は「始めたらすぐ終わる」ものではありませんが、定期的な通院と計画的な管理によって確実にゴールに近づいていきます。
スケジュールの見通しを持つことで、仕事や学校との両立もしやすくなり、治療へのモチベーションも保ちやすくなります。
矯正歯科の治療期間について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
Q8. 矯正治療中にトラブルが起きたらどうすればいい?
矯正治療は長期にわたるため、その途中で予期せぬトラブルが起こることもあります。装置の破損や痛み、口内の変化にどう対応すればよいのか、よくあるトラブルとその対処法について解説します。
矯正装置が壊れた・外れたときの対処法
矯正治療中によくあるトラブルのひとつが、ワイヤーの飛び出し、ブラケットの脱落、マウスピースの破損など、装置そのものの不具合です。これらは、硬いものを噛んだり、誤って装置に強い力を加えたときに起こりやすいものです。
もしワイヤーが口内に刺さって痛む場合は、応急処置としてワックスを使用するか、ガーゼなどをあてて保護してください。ブラケットが外れた場合も、無理に自分で取り外したり戻したりせず、速やかに歯科医院に連絡を取りましょう。自己判断で処理すると、治療の進行に悪影響を及ぼす可能性があります。
マウスピース矯正の場合、装置の破損や紛失時には予備のアライナーを使用するか、前のステージのものを一時的に装着して対応することもあります。医院の指示に従って早急に再発行の手続きを行いましょう。
虫歯や歯ぐきのトラブルが起きたらどうする?
矯正治療中は歯に装置がついている分、歯みがきが難しくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
特にワイヤー矯正では、歯と装置の隙間にプラークがたまりやすく、ケアを怠るとトラブルの原因になります。
もし治療中に虫歯が見つかった場合は、矯正治療を一時中断して虫歯治療を優先することがあります。治療内容によっては装置を一部外して処置を行う必要があるため、時間的なロスが発生することも。矯正中のトラブルを予防するには、定期的なメンテナンスと日々の丁寧なセルフケアが欠かせません。
また、歯ぐきが腫れたり出血したりする場合も、歯周病の初期症状である可能性があります。異常を感じたら放置せず、早めに診察を受けましょう。
治療を中断したくなったときの対応
矯正治療は長期間にわたるため、「引っ越し」「妊娠・出産」「仕事が忙しくなった」などの理由で治療の継続が困難になるケースもあります。中断した場合、歯は元の位置に戻ろうとするため、治療の成果が失われてしまう可能性があります。
どうしても通院が難しくなった場合は、無断で通院を止めるのではなく、必ず担当の歯科医に相談しましょう。状況に応じて、治療計画の調整や一時的な保定装置の使用など、リスクを最小限に抑える方法を提案してもらえることがあります。
また、転居の場合には転院先の紹介なども対応可能です。しっかりと引き継ぎが行われれば、スムーズに治療を再開することもできます。
Q9. 治療後も大事?
矯正治療は歯が整った時点で「終わり」と思われがちですが、実はそこからが本当のスタートです。歯並びを長期的に安定させるためには、治療後の過ごし方がとても重要です。
矯正後の「後戻り」とは?
矯正治療が終わった後でも、歯は元の位置に戻ろうとする性質があります。これを「後戻り」と呼びます。治療中に動かした歯は、歯槽骨や歯ぐきなど周囲の組織がまだ安定しておらず、何もしなければゆっくりと元の方向へ動いてしまいます。
後戻りの程度は個人差がありますが、特に治療直後の数か月〜1年が最も不安定な時期とされています。せっかく整えた歯並びを維持するためには、この時期のケアが不可欠です。
また、舌のクセや口呼吸、噛みしめなどの悪習癖が残っていると後戻りを誘発する要因になります。治療後も生活習慣に注意を払い、必要に応じてトレーニングを継続することが求められます。
矯正後の「後戻り」について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
リテーナー(保定装置)の重要性
後戻りを防ぐために用いられるのがリテーナー(保定装置)です。これは矯正後の歯の位置を安定させる目的で、一定期間毎日装着する必要があります。
種類には、取り外し可能な「可撤式リテーナー」と、歯の裏側にワイヤーを固定する「固定式リテーナー」があります。
装着時間は治療直後は1日20時間以上が推奨されることもあり、段階的に装着時間を減らしていくのが一般的です。夜間だけの装着になってからも、数年〜長期的に使用を続けることが推奨される場合があります。
リテーナーを自己判断で使用しなくなると、短期間で歯並びが崩れてしまうことがあり、再治療が必要になるケースも。治療が終わった後こそ、地道なケアを怠らないことが美しい歯並びを維持する秘訣です。
美しい歯並びを保つために気をつけること
矯正後はリテーナーの装着だけでなく、日常生活でもいくつかの注意点があります。まず、歯ぎしりや食いしばりがある方は、マウスピース(ナイトガード)を使用することで歯列への負担を軽減できます。
また、舌の位置や口呼吸などの習慣を改善するために、口腔筋機能療法(MFT)を継続することも有効です。
さらに、歯並びが整ったことでブラッシングがしやすくなりますが、それでも油断は禁物です。定期的な歯科検診・クリーニングを継続し、虫歯や歯周病の予防に努めることが大切です。
特に装置を外したばかりの時期は歯ぐきが敏感になっていることもあるため、歯みがきの方法を見直す良い機会です。
矯正治療は「見た目を整える」ことがゴールではなく、「その状態を保ち続ける」ことが最終目標です。治療後の過ごし方こそが、矯正の成果を決めるカギとなります。
実際に治療後も美しい歯並びを保った症例をご覧ください。
Q10. 矯正治療、まず何から始めればいい?
「矯正に興味はあるけど、本当に自分に必要?」「費用や装置のことが不安…」そう思っている方こそ、まずは専門医への相談から始めてみましょう。実際に話を聞くことで、多くの不安が解消されます。
どのタイミングで相談すればいい?
矯正治療を検討するベストなタイミングは、人それぞれです。歯並びや噛み合わせに違和感を覚えたとき、子どもの歯の生え方が気になったとき、大人になって自分の口元を見直したくなったとき——どんなきっかけでも構いません。明確な症状や目的がなくても、少しでも「気になる」と感じた時点で相談しておくことが、より良い結果につながります。
特に成長期の子どもの場合、永久歯への生え変わりが始まる6歳頃からのチェックがおすすめです。この時期に矯正の必要性を見極めることで、将来的に大がかりな治療を回避できる可能性があります。
成人の場合も、「もう遅い」ということはありません。どの年齢でも始められるのが矯正治療の特徴であり、ライフステージに合わせた無理のないプランを立てることが可能です。
セカンドオピニオンの活用も視野に
矯正治療は費用も期間もかかるからこそ、慎重に進めたいと感じる方は多いでしょう。そんな時に役立つのが「セカンドオピニオン」です。すでに相談済みの方でも、別の医院の意見を聞いて比較することは、患者として当然の権利です。
医師によって診断や治療方針が異なる場合もあり、自分に合った考え方や治療法を選ぶための判断材料になります。複数の意見を聞くことで、「納得できる治療」が見えてくるはずです。
特に、抜歯の要否、装置の種類、期間の違いなどがある場合は、事前に複数の医院に相談することで後悔のない選択がしやすくなります。
矯正専門医に相談するメリットとは
矯正治療は、一般歯科とは異なる専門的な知識と技術を必要とします。日本矯正歯科学会認定医や臨床経験豊富な矯正専門医に相談することで、より精度の高い診断と治療計画を受けられるのが大きなメリットです。
また、矯正専門の設備が整っている医院では、セファログラム(頭部X線規格写真)や3Dスキャナーなどの診断機器が揃っており、口元のバランスや骨格の関係まで踏まえた立体的な治療計画が可能です。
さらに、装置の選択肢も豊富に用意されているため、審美性やライフスタイルに配慮した柔軟な対応ができるのも専門医院ならではの特徴です。歯並びを整えることがゴールではなく、「患者一人ひとりが長く快適に暮らせる口腔環境をつくる」ことが、矯正治療の本質だと言えるでしょう。
まずは一歩、つじむら歯科医院に相談してみませんか?
伊勢原市にある再発率0%を追求した見えない非抜歯専門クリニック
『 つじむら歯科医院 』
住所:神奈川県伊勢原市小稲葉2204−1
TEL:0463-95-8214
【監修者情報】
つじむら歯科医院グループ総院長 辻村 傑
【略歴】
1993年 神奈川歯科大学 卒業
1995年 つじむら歯科医院 開業
1997年 医療法人社団つじむら歯科医院 開設
2008年 神奈川歯科大学生体管理医学講座 薬理学分野大学院
2010年 南カリフォルニア大学卒後研修コース修了
2010年 南カリフォルニア大学客員研究員
2010年 南カリフォルニア大学アンバサダー(任命大使)
2012年 ハートフルスマイルデンタルクリニック茅ヶ崎 開業
2012年 UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校卒後研修コース修了
2013年 インディアナ大学 歯周病学インプラント科客員講師
2014年 インディアナ大学医学部解剖学 顎顔面頭蓋部臨床解剖 認定医
2017年 iDHA 国際歯科衛生士学会 世界会長就任
2020年 iACD 国際総合歯科学会 日本支部会長
【所属】
IIPD国際予防歯科学会認定医
日本抗加齢医学会認定医
日本歯科人間ドック学会認定医
日本口腔医学会認定医
セカンドオピニオン専門医
DGZI国際インプラント学会認定医
日本咀嚼学会会員
日本保存学会会員
日本全身咬合学会会員
日本口腔インプラント学会会員
国際歯周内科学研究会会員
日本口腔内科学研究会会員
日本床矯正研究会会員
神奈川矯正研究会会員
日本臨床唾液学会会員
NPO法人歯と健康を守ろう会会員
日本ヘルスケア歯科研究会会員
伊勢原市中央保育園学校歯科医
日本食育指導士
健康咀嚼指導士