親知らずに関するお悩み、ありませんか?
- 親知らずの周りに痛みを感じる
- 親知らずを抜くべきか迷っている
- 親知らずが生えてこない
- 親知らずを抜かなくても大丈夫なのか
- 親知らずの抜歯に伴うリスクについて
- 親知らずが歯並びに与える影響は?
親知らずとは?
親知らず(智歯・第三大臼歯)は、永久歯の中で最も奥に位置する歯で、前歯から数えて8番目にあたります。上下左右にそれぞれ1本ずつ、合計4本あるのが一般的ですが、もともと生えてこない方や、1~2本だけというケースも珍しくありません。
通常、永久歯は15歳頃までにすべて生え揃いますが、親知らずはそれより遅く、10代後半から20代前半にかけて生えてくるのが特徴です。このため、「親に知られずに生えてくる歯」として「親知らず」という名前が付いたとも言われています。
ただし、現代人の顎は進化の過程で小さくなってきており、親知らずがまっすぐ正常に生えてこないケースが増えています。斜めに生えたり、歯ぐきに半分埋まったままだったりと、トラブルの原因になることも多いため、専門的な診断が重要です。
親知らずを抜いたほうが良いケースとは?
「親知らずは抜いた方がいい」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実際には、すべての親知らずを抜歯する必要があるわけではありません。しかし、放っておくことでお口の健康に悪影響を及ぼすケースもあるため、注意が必要です。ここでは、親知らずの抜歯が推奨される代表的なケースについてご紹介します。
1. 痛みや腫れを繰り返している場合
親知らずまわりに痛みや腫れがあるときは、以下のような問題が関係している可能性があります。
-
虫歯や歯周病
奥に位置する親知らずは歯ブラシが届きにくく、清掃が不十分になりやすいため、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。 -
智歯周囲炎(ちししゅういえん)
斜めに生えた親知らずと隣の歯とのすき間に汚れがたまり、歯ぐきの炎症(智歯周囲炎)を引き起こすことがあります。 -
生えてくる際の痛み
親知らずが歯ぐきや隣接する歯を圧迫し、痛みを感じることがあります。まっすぐに生えれば痛みは軽減しますが、方向が悪いと痛みが慢性化する場合もあります。 -
歯性感染症
炎症が顎や顔の周囲に広がると、顎骨骨膜炎や化膿性リンパ節炎などの重篤な感染症を引き起こす恐れもあります。口が開きづらくなったり、強い腫れが出たりした場合は早急な処置が必要です。
2. 歯並びに悪影響が出ている場合
親知らずの生える方向や位置によっては、前方の歯を押してしまい、歯並びが乱れることがあります。特に横向きに埋まっている場合や、斜めに生えてきている場合にその傾向が強くなります。
歯並びが変わってしまうと、矯正治療が必要になるケースもあります。将来的に矯正を考えている方は、親知らずの抜歯を事前に検討することをおすすめします。
3. 隣の歯を傷つけている場合
横向きに生えている親知らずは、手前の第二大臼歯に接触しやすく、長期間放置すると歯の根を圧迫・吸収してしまうことがあります。
また、清掃がしづらい部位であるため、汚れが溜まりやすく、慢性的な炎症や骨の吸収が進むことで、健康な隣の歯までダメージを受けてしまうことがあります。放置することで、親知らずだけでなく大切な他の歯を失うリスクもあるため、注意が必要です。
4. 嚢胞や腫瘍ができている場合
埋まったままの親知らずが原因で、あごの骨の中に「含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)」という液体のたまった袋ができることがあります。これは無症状のまま進行することも多いのですが、大きくなると骨を溶かしてしまい、腫れや違和感を生じることもあります。
また、非常に稀ですが、親知らずが原因で「歯原性腫瘍」と呼ばれる良性腫瘍ができることもあり、外科的な処置が必要になる場合もあります。これらの病変はレントゲンやCT検査で発見されるため、定期的な検診が大切です。
抜かなくてもよい親知らずとは?
すべての親知らずが抜歯の対象になるわけではありません。適切な状態であれば、将来的に活用できる可能性もあるため、抜かずに経過観察するという選択もあります。ここでは、抜歯を急ぐ必要がない親知らずの代表的なケースをご紹介します。
1. 正常に生えて上下でかみ合っている場合
親知らずがまっすぐ生え、上の歯と下の歯がしっかりと咬み合っている状態であれば、無理に抜く必要はありません。適切にかみ合っていれば、食事や咀嚼にも貢献できるため、健康な歯としてそのまま機能させることが可能です。
2. 顎の骨の中に完全に埋まっていて、トラブルがない場合
親知らずが歯ぐきや顎の骨にすっぽり埋まっていて、周囲に炎症や痛み、腫れなどの症状がなければ、無理に抜く必要はありません。このような状態を「完全埋伏智歯」といい、定期的に経過を確認しながら管理していくのが一般的です。
3. 入れ歯やブリッジの支えとして活用できる場合
親知らずがある程度正常に生えている場合、手前の奥歯(第一大臼歯や第二大臼歯)を失った際に、ブリッジの支台歯や入れ歯のクラスプ(土台)として活用できる可能性があります。このような理由から、抜歯を避けて保存する判断をすることもあります。
4. 移植歯として使用できる可能性がある場合
万が一、手前の大臼歯を抜歯することになった場合に、条件が整えば親知らずをその部位へ移植することが可能です。これを「自家歯牙移植」と呼び、患者様自身の天然歯を再利用する方法として注目されています。
ただし、移植の成功率は、親知らずの形状や根の状態、移植先の状況、年齢など複数の条件を慎重に評価したうえで判断されます。
5. 矯正治療により機能的に活かせる場合
親知らずの位置や向きに問題がある場合でも、矯正治療により正しい位置に移動させることで、咀嚼に有効な歯として利用できるケースもあります。
たとえば、上顎の親知らずが前方に傾き、第二大臼歯とぶつかっていた場合、矯正によってその位置を整えることで、下顎の親知らずとの正しい咬合関係が得られることがあります。
※ただし、すべての症例において矯正が適応できるわけではありません。顎のスペースや歯の状態によっては移動が困難なこともあるため、事前に歯科医師の診断を受けることが大切です。
当院の親知らず抜歯の特長
1. 患者さまに合わせた柔軟な治療プラン
つじむら歯科医院では、患者さまのご希望やお口の状態に応じて最適な抜歯プランをご提案しています。
- ・初診時のカウンセリングのみ希望される方
- ・初回の来院でそのまま抜歯したい方
- ・2〜4本まとめて抜歯をご希望の方
- ・他院で「難しい」と断られた方
- ・入院や全身麻酔が必要と言われた方
このようなご要望にも、当院では可能な限り即日対応しております。多くの歯科医院では診断後に改めて別日での抜歯を提案されますが、当院では豊富な経験と技術により、初診当日の抜歯も多数実施しております。
なぜ多くの医院で即日抜歯ができないのか?
親知らずの抜歯は難易度の高い処置とされており、多くの医療機関では診断後に後日予約を取って対応するのが一般的です。特に大学病院や口腔外科では、初診当日の抜歯はほとんど行われていません。
しかし当院では、抜歯に特化した経験と確かな技術により、多くの症例で5~10分程度での処置が可能です。患者さまの通院負担を軽減し、ニーズに応じた柔軟な対応を心がけています。
妊娠と親知らずの関係について
妊娠中はホルモンバランスの変化により、歯ぐきの腫れや出血、智歯周囲炎などのトラブルが起こりやすくなります。妊娠前には無症状だった親知らずが、妊娠中に急に腫れて痛み出すことも少なくありません。
そのため、妊娠前にあらかじめリスクの高い親知らずを治療しておくことが望ましいです。万が一、妊娠中に症状が出た場合でも、安定期(16~27週)であれば応急処置が可能です。レントゲンや麻酔、処方薬は母体と胎児に配慮しつつ安全に対応いたします。
2. 丁寧でわかりやすいご説明
親知らずの抜歯は、誰しもが不安を抱きやすい処置です。つじむら歯科医院では、患者さまのお気持ちに寄り添い、抜歯の流れや治療内容について丁寧にご説明いたします。治療への理解を深めていただくことで、安心して治療に臨んでいただけるよう努めています。
3. 抜歯にかかる時間を事前にご案内
「どれくらいの時間で終わるのか?」というご質問は多くいただきます。実際、抜歯は処置中の状況によって変動しやすいため、時間を明言することを避ける歯科医院も少なくありません。
しかし当院では、事前に予想される処置時間をできる限り具体的にお伝えしています。抜歯に特化した技術により、予定時間と実際の処置時間の差も最小限に抑えることができています。
4. 痛みに配慮したやさしい治療
「歯を抜く=痛い」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。当院では、痛みに対して最大限の配慮を行い、できる限り快適な治療を目指しています。
- ・表面麻酔の塗布による針の刺激の軽減
- ・極細の注射針の使用
- ・麻酔液を人肌に温めて注入
- ・痛点の少ない部位の選定
- ・ゆっくりとした圧力での麻酔注入
こうした細やかな配慮により、麻酔の段階から痛みを抑える工夫を重ねています。
5. 腫れを最小限に抑える「低侵襲な抜歯」
切開ラインの工夫
一般的な切開方法では視野が広く取れる反面、術後の腫れや歯肉の退縮が起こりやすくなります。当院では、必要最小限の切開を行うことで、術後の腫れやダメージを抑えています。
骨の削合量の最適化
一般的な方法では広範囲に骨を削る必要がありますが、当院では必要な最小限のみを削り、歯を無理なく抜く技術を確立しています。これにより、術後の腫れが軽減され、骨の再生もスムーズになります。
抜歯器具の選定にもこだわりを
親知らず抜歯に欠かせない器具である「挺子(ヘーベル)」も、当院では操作性と低侵襲性に優れたものを厳選して使用。力任せではなく、繊細な操作で抜歯を行うことで、患者さまへの負担をできるだけ軽減しています。
「口腔外科」とは?親知らず抜歯との関係について
親知らずは比較的単純に抜けることもあれば、骨の中に深く埋まっていたり、神経や血管に近接していたりと、専門的な知識と技術を要するケースも少なくありません。ここでは、口腔外科で親知らずを抜歯する主なメリットをご紹介します。
1. 難しい症例にも対応できる
一般歯科医は多岐にわたる診療を担当するため、親知らず抜歯の経験が限定的なこともあります。特に以下のような難症例では、口腔外科の専門的な知識と技術が求められます。
- ・骨に深く埋まっている(埋伏歯)
- ・横向きや斜めに生えている
- ・神経や血管の近くに位置している
口腔外科ではこうした「難抜歯」に対しても、安全かつ確実な処置が可能です。
2. 治療がスムーズでスピーディー
口腔外科医は親知らず抜歯の症例を数多く経験しており、手技にも慣れているため、処置がスムーズに進みます。処置時間が短く済むことで、患者さまの身体的・精神的な負担が軽減されるという大きな利点があります。
3. 神経・血管の損傷リスクを抑えられる
親知らずが下顎の骨に近い場合、その周囲には「下歯槽神経」や「動静脈」などの重要な構造があります。経験の少ない医師が処置を行うと、まれにしびれや出血といったトラブルにつながることがあります。
一方で口腔外科医は、顔面や顎の解剖学に精通しており、神経や血管への配慮を徹底したうえで抜歯処置を行うため、偶発症のリスクを最小限に抑えることができます。
4. 術後の痛みや腫れが少ない
経験豊富な口腔外科医が行う抜歯は、処置時間が短く、組織へのダメージも抑えられます。その結果、術後に起こりやすい腫れや痛みが軽減されやすいのも特徴です。仕事や日常生活への影響を最小限に抑えたい方には、特におすすめです。
親知らずの抜歯は、信頼できる口腔外科で
「どこで親知らずを抜けばいいのか分からない」「難しい抜歯だと他院で断られた」――そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度つじむら歯科医院へご相談ください。
当院では、親知らずに関する豊富な実績と専門的な知識を持つ歯科医師が対応し、安心・安全な抜歯をご提供しています。精密な診査・診断のうえで、必要に応じて提携先の大学病院等へのご紹介もスムーズに行えます。
親知らずと人類の進化の関係
親知らずの本数や生え方には個人差があります
親知らずは通常、上あごと下あごの左右に1本ずつ、計4本が存在するとされています。ただし、すべての人に4本の親知らずがあるとは限りません。最初から1本も存在しない方もいれば、1〜2本だけ、あるいは3本だけというケースもあります。こうした親知らずの本数や生え方には、個人差が大きく関係しています。
現代人の顎の変化と親知らずの問題
現代人の顎は進化の過程で徐々に小さくなってきており、それに伴い親知らずが生えるスペースが不足するケースが多くなっています。その結果、まっすぐに生えず、傾いたり、顎の骨の中に埋まったまま(埋伏)になってしまったりする例も珍しくありません。
親知らずの「埋伏」や「欠損」は現代だけの現象ではない
親知らずがもともと存在しない「先天性欠損」や、顎の中に埋まったまま生えてこない「埋伏歯」は、しばしば現代病のように語られることがあります。
しかし、実はこの現象はかなり古くから見られるもので、旧石器時代のクロマニョン人や弥生時代の人々にも同様の傾向が確認されています。
近年になって急に親知らずが欠如する人が増えたという印象を持たれることもありますが、ある調査では逆に「すべての親知らずが生えてくる」ケースの割合が増加しているという報告もあります。つまり、親知らずの欠損や埋伏は人類の長い進化の流れの中で起こってきた自然な変化であり、近年の一時的な現象ではないのです。
「親知らず」という名前の由来
「親知らず」という言葉の語源をご存じでしょうか?
この名前は、親が子どもの歯の生え変わりに気づかない時期、すなわち成人後に生えてくることに由来しています。多くの親知らずは10代後半から20代前半にかけて生えるため、すでに親元を離れている年齢のことが多く、「親に知られずに生えてくる歯=親知らず」と呼ばれるようになったといわれています。
なお、歯科医療の専門用語では「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」または「智歯(ちし)」と呼ばれています。智歯という呼び名には、「知恵がつく年齢になってから生える歯」という意味も込められており、歴史ある名称です。
親知らずの特徴と、他の歯との違い
親知らずは、他の歯と比べて特徴的な性質を持っています。最大の違いは「正常に生えない可能性が高い」という点です。
現代人の小さな顎に対し、親知らずが生えるスペースが不足していることが多いため、横向きに生えてしまったり、斜めになったり、完全に埋まってしまったりすることがあります。
さらに、親知らずは4本すべてが揃うとは限りません。1本も生えない方もいれば、2本だけ、あるいは1本だけ生える方もおり、個人差が非常に大きいのも親知らずの特徴です。
親知らずが引き起こす病気とは?
親知らずは、まっすぐ正常に生えてくれば特に問題はありませんが、多くの場合、斜めに生えたり、半分だけ歯ぐきに埋まった「半埋伏(はんまいふく)」の状態になることがあります。こうした状態が続くと、周囲の歯ぐきや隣の歯に悪影響を与えるさまざまなトラブルを引き起こすことがあります。以下では、代表的な疾患について解説します。
虫歯・歯周病
親知らずが傾いていたり、歯ぐきに一部埋まっている状態では、歯ブラシが届きにくく清掃が不十分になりやすいため、汚れがたまりやすくなります。その結果、親知らず自体が虫歯や歯周病になりやすいだけでなく、そのすぐ手前にある大切な第二大臼歯(奥歯)にも悪影響を及ぼします。
特に、狭い隙間に汚れが溜まることで、見えにくく気づきにくいため、症状が進行しやすいのが特徴です。
智歯周囲炎(歯冠周囲炎)
智歯周囲炎とは、親知らずの周囲の歯ぐきに炎症が起こる疾患で、急に腫れや強い痛みを伴うことがあります。20代〜30代に多く見られる症状ですが、中には60代以降でも発症するケースがあります。
炎症が進行すると、顔の片側が大きく腫れたり、口が開かなくなる(開口障害)、喉の痛み、発熱などを伴うこともあります。さらに、炎症が首や胸の奥にまで広がると、まれに命に関わる重篤な状態に至ることもあるため、早期の対応が重要です。
含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)
親知らずが顎の骨の中に埋まったままの状態で、その周囲に液体がたまり、嚢胞(のうほう:袋状の病変)ができることがあります。これを「含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)」と呼び、特に下あごの親知らずによく発生します。
小さな嚢胞の場合は無症状のこともありますが、嚢胞が大きくなると顎の腫れや違和感を生じ、周囲の歯の位置がずれたり、歯の根が吸収されることもあります。さらに進行すると、骨の中で大きく広がり、顎の骨の強度を損なう恐れもあります。
このような場合は、親知らずの抜歯と同時に、嚢胞を取り除く手術(嚢胞摘出術)を行うことが一般的です。また、まれにエナメル上皮腫など他の腫瘍との鑑別が必要になることもあり、正確な診断にはレントゲンやCT検査が欠かせません。
親知らずは抜くべき?残すべき?
親知らずは、その位置や生え方によって、虫歯や歯周病、智歯周囲炎(歯冠周囲炎)などのトラブルを引き起こすリスクが高く、抜歯が必要とされるケースが少なくありません。一方で、しっかり噛み合って正常に機能している場合や、将来的に活用できる可能性がある場合には、無理に抜かずに様子を見ることもあります。
重要なのは、「抜いたほうがいいリスク」と「抜かないリスク」の両方をよく理解し、歯科医師と相談のうえで適切な判断をすることです。以下では、親知らずを抜かずに残しておくことで生じる可能性のあるリスクについて解説します。
親知らずを抜かないことで生じるリスク
1. 親知らずそのものがトラブルの原因になることがある
親知らずは顎の奥にあるため、ブラッシングが届きにくく、虫歯や炎症が起こりやすい環境にあります。特に、斜めに生えていたり半分埋まっていたりすると、食べカスや歯垢がたまりやすく、清掃が不十分になりがちです。
このような場合、虫歯が進行したり、智歯周囲炎を繰り返したりするリスクが高くなります。治療が難しい位置であることから、症状が出る前に早めに抜歯を検討することが望ましいケースも多くあります。
2. 隣の大切な歯に悪影響を与える可能性がある
親知らずのすぐ手前にある「第二大臼歯(7番目の歯)」は、噛む力を担う重要な歯であり、「人生100年時代」を生き抜くうえでも長く使いたい歯のひとつです。
しかし、親知らずが手前の歯に圧迫を加えたり、汚れがたまりやすい環境をつくったりすることで、その大切な歯まで虫歯や歯周病のリスクにさらされる可能性があります。
もし、親知らずの影響で第二大臼歯が繰り返しトラブルを起こしているようであれば、親知らずの抜歯を積極的に検討するべきです。
最終的な判断は、専門的な診断と相談のうえで
親知らずは「とりあえず抜けばよい」という単純なものではありません。残すべき親知らずもあれば、早期に抜いたほうが良いものもあります。正しい判断のためには、レントゲンやCTなどによる精密な診断が欠かせません。
つじむら歯科医院では、患者さまの親知らずの状態を丁寧に診査・診断したうえで、「抜いたほうが良いのか」「残して問題ないのか」をわかりやすくご説明します。少しでも気になる症状がある方や、抜歯すべきか迷っている方は、ぜひ一度ご相談ください。
親知らずの抜歯にともなうリスクについて
親知らずの抜歯は、多くの場合で安全に行える処置ですが、外科的な治療である以上、一定のリスクを伴う可能性もあります。以下では、親知らずを抜く際に考えられる代表的な合併症について、患者さまに安心してご理解いただけるよう、丁寧にご説明いたします。
主な術後リスク・合併症について
1. 痛み・腫れ
術後1〜3日は、痛みや腫れが出ることが一般的です。通常、1週間程度で症状は落ち着きますが、まれに1〜2週間ほど違和感が続くこともあります。必要に応じて鎮痛薬を処方いたします。
2. 出血・内出血
抜歯後1~2日は、少量の出血(にじむ程度)が見られることがあります。ガーゼを噛んで圧迫止血することで対応可能です。また、頬に青アザのような内出血が現れることもありますが、多くの場合、1~2週間で自然に消失します。
3. 周囲の歯や骨への影響
抜歯時に、隣接する歯の詰め物が外れたり、被せ物がずれたりすることがあります。まれに隣の歯やその周囲の骨に損傷が生じるケースもあり、術後に小さな骨片が歯ぐきに露出することがありますが、自然に排出される場合が多いです。
4. 歯の根の一部が残ることがある
親知らずの根が細く湾曲している場合、抜歯の際に根が折れてしまうことがあります。無理にすべてを除去せず、一部をあえて残すことで、かえって炎症や神経損傷を防ぐことができる場合もあります。
5. 感染症
術後数日〜10日ほど経ってから、手術部位が赤く腫れたり、膿が出るなどの感染症が起こる場合があります。抗菌薬や消毒処置により多くは改善しますが、痛みや腫れが強い場合は早めにご相談ください。
6. 顎関節の脱臼
ごくまれに、口を大きく開けた状態が続いたことで顎関節が一時的にずれる(脱臼する)ことがあります。このような場合にはすぐに適切な整復処置を行いますのでご安心ください。
7. 抜いた歯の誤嚥・吸引
抜いた歯が喉の奥に落ちる可能性もゼロではありません。処置中は、鼻呼吸を心がけていただきます。誤って飲み込んでしまった場合でも、多くは自然に体外へ排出されますが、万一気管に入った場合は迅速な処置が必要となります。
8. 処置の中止・専門機関への紹介
抜歯中に想定外の合併症が生じ、院内での処置継続が難しいと判断した場合は、安全を最優先に処置を中止し、必要に応じて高次医療機関へご紹介いたします。なお、この場合も保険診療の範囲内で診療費が発生いたします。
9. 上顎洞への影響(上顎の親知らずの場合)
上顎の奥歯は「上顎洞(副鼻腔)」と隣接しており、稀に抜歯時にその境界に穴が開いてしまうことがあります。これにより鼻と口がつながる状態となり、鼻血や副鼻腔炎(上顎洞炎)などが生じる可能性があります。適切な処置を行うことで改善が可能です。
10. 皮下気腫
歯を削る際に使用する機器から出る空気が皮下に入り、頬が腫れる「皮下気腫」が起こることがあります。ほとんどの場合、1〜2日で自然に治まります。
11. 感覚の異常(下顎の親知らずの場合)
下顎の親知らずは、神経(下歯槽神経・舌神経)と近接しているため、術後に唇や顎、舌にしびれや感覚の鈍さが残ることがあります。多くは一時的なもので、数週間から数ヶ月で徐々に回復しますが、まれに長期にわたって続くこともあります。
親知らず抜歯の流れ|受付から抜糸まで丁寧にサポートします
親知らずの抜歯は、ただ歯を抜くだけではなく、正確な診査・診断と、安全に配慮した丁寧な治療計画が重要です。つじむら歯科医院では、初診からアフターケアまで、一人ひとりの患者様に寄り添った対応を心がけています。以下では、初回来院から抜糸までの流れをご紹介します。
1. 問診・カウンセリング
まずは問診票のご記入をお願いしています。親知らずに関する症状(痛み、腫れ、違和感など)や、お困りのことがあれば遠慮なくお伝えください。また、現在服用中のお薬がある方は、お薬手帳や服薬情報をご持参ください。持病の有無も含め、治療の安全性を高めるために大切な情報となります。
2. 検査・診察
口腔内の視診に加え、親知らずの位置や状態を正確に把握するためにパノラマレントゲンを撮影します。症例によっては、神経や骨との位置関係をより詳しく調べるため、CT撮影も行います。
炎症による腫れが強い場合や、発熱など全身症状がある場合は、当日の抜歯を見合わせ、症状を落ち着かせる処置を優先することもあります。
3. 治療計画のご説明
検査結果をもとに、抜歯の必要性や方法、手術の難易度、所要時間、治療費用などについて丁寧にご説明します。ご納得いただけた場合は、同意書にご署名いただき、抜歯の日程を決定します。
不安な点やご不明な点があれば、どんなことでも遠慮なくお尋ねください。治療に対する不安を取り除くことも、当院の大切な役割です。
4. 抜歯処置
抜歯は、局所麻酔を用いて行いますので、処置中の痛みはほとんど感じません。ご希望や症例に応じて、点滴でうとうとと眠った状態で処置を行う「静脈内鎮静法」にも対応しています。
歯ぐきを切開する必要がある場合は、処置後に縫合も行います。当院では、できるだけ周囲の組織へのダメージを抑え、短時間でスムーズな抜歯を行うことを目指しています。
5. 抜歯後のケア
術後は止血確認を行い、20分ほどガーゼをしっかり咬んでいただきます。細菌感染や炎症を防ぐため、抗生物質や痛み止めを処方いたします。痛みには個人差がありますが、多くの方は処方薬で十分にコントロール可能ですのでご安心ください。
抜歯当日は以下の点にご注意ください:
- ・麻酔が完全に切れるまで飲食は控える
- ・強いうがいや頻繁なうがいは避ける
- ・熱い飲食物やアルコール、激しい運動は控える
1週間ほど経過をみて、患部の状態が安定していれば抜糸を行います。抜糸時も痛みはほとんどありませんので、ご安心ください。
親知らずの抜歯後に気をつけていただきたいこと
親知らずを抜いた後は、傷口の治癒を妨げないためにも、いくつかの注意点があります。術後の過ごし方によって、痛みや腫れの程度、治りの早さが大きく変わってきます。以下の点を参考に、無理のない範囲で適切なケアを心がけましょう。
1. お食事について
抜歯直後の傷口は非常にデリケートな状態です。手術当日はなるべく柔らかく、刺激の少ない食事を選びましょう。たとえば、おかゆやスープ、プリンなどが適しています。
避けていただきたい食べ物の一例:
- ・硬いもの(せんべい、ナッツなど)
- ・辛いものや熱すぎるもの
- ・炭酸飲料や酸味の強いもの
また、痛みがある場合は抜歯していない側で咀嚼するようにすると、傷口への刺激が軽減されます。
2. 飲酒・喫煙について
アルコールやタバコは血行や免疫のバランスを乱すため、術後の治癒を遅らせたり、感染や腫れの原因になったりすることがあります。抜歯後の少なくとも1週間は飲酒・喫煙を控えるようにしてください。
3. 歯みがきについて
基本的には、抜歯していない部分は普段どおりに歯みがきをしていただいて構いません。ただし、抜歯した箇所に直接触れることは避けてください。
歯ブラシの毛先が傷口に当たらないよう注意しつつ、隣の歯まではしっかり清掃することが大切です。食べかすや細菌がたまると、痛みや腫れが治りにくくなります。
もし術後の痛みや腫れが強く、口を開けにくい場合は、無理に磨かず、可能な範囲で口腔内を清潔に保つようにしましょう。
4. うがい・入浴・運動について
抜歯当日は、強いうがいを繰り返すことは避けてください。せっかく止まりかけていた出血が再び起こったり、血のかたまり(血餅)が取れて治りが遅くなることがあります。
また、激しい運動や長時間の入浴も、血行が良くなりすぎて腫れを悪化させる原因となることがあります。抜歯当日は、汗をかくような運動は避け、入浴もシャワー程度にとどめるのが安心です。
術後に気になる症状が出た場合は
以下のような症状があらわれた場合は、早めに当院へご連絡ください:
- ・出血が長時間止まらない
- ・強い腫れや発熱がある
- ・膿が出る、口の中に異臭がする
- ・抜歯部位にズキズキとした強い痛みが続く
つじむら歯科医院では、術後の経過観察にも力を入れています。どんな些細なことでも、気になる点があればお気軽にご相談ください。
親知らずに関するよくあるご質問(Q&A)
Q1. 親知らずはいつ頃生えてきますか?
多くの方は10代後半から20歳前後にかけて親知らずが生えてきます。ただし、生える時期には個人差があり、まったく生えてこない方もいらっしゃいます。もともと親知らずが存在しない「先天欠如」のケースも珍しくありません。
Q2. 親知らずの痛みの原因は何ですか?
親知らずの痛みの主な原因は、細菌による感染です。具体的には「虫歯」や「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」といった炎症が挙げられます。
- ・親知らず自体に虫歯ができている場合
- ・親知らずの周囲の歯ぐきに炎症が起きている場合(智歯周囲炎)
親知らずはお口の一番奥に位置しており、まっすぐ生えていなかったり、歯ぐきに埋もれていたりすることで歯ブラシが届きにくく、プラーク(歯垢)が溜まりやすくなります。その結果、感染を引き起こしやすい環境となります。たとえ完全に生えていない状態でも、歯ぐきの中に細菌が侵入することで痛みや腫れが生じることもあります。
Q3. 痛みや腫れを放置するとどうなりますか?
炎症を放置すると、重篤な症状に進行する可能性があります。親知らずのまわりに起きた感染が広がると、以下のような症状が見られることがあります。
- ・喉の痛み・飲み込みづらさ
- ・口が開けにくくなる(開口障害)
- ・顎の痛みや腫れ、顔のむくみ
- ・首の腫れやリンパ節の炎症
さらに炎症が喉の奥や気道にまで及ぶと、呼吸を妨げる危険性があり、生命に関わる重大な状態になることもあります。違和感や痛みを感じた段階で、早めの受診をおすすめします。
Q4. 親知らずは必ず抜かないといけませんか?
必ずしもすべての親知らずを抜く必要はありません。ただし、以下のような状況では抜歯が効果的な治療手段となります。
- ・痛みや腫れがある(虫歯・智歯周囲炎など)
- ・手前の歯(第二大臼歯)に悪影響が出ている
- ・繰り返し炎症が起きる
一時的には抗生物質で症状が和らぐこともありますが、根本的な原因が残るため、再発するリスクが高いといえます。親知らずを抜歯することで、炎症の原因そのものを取り除くことができるため、長期的な健康維持につながります。
Q5. 右の親知らずを抜いたら、左側も抜かないといけませんか?
いいえ、反対側の親知らずを必ず抜く必要はありません。
「片側だけ抜いたら左右のバランスが崩れてしまうのでは?」とご心配される方もいらっしゃいますが、抜歯が必要かどうかはそれぞれの親知らずの状態によって判断します。
同様に、上の親知らずを抜いたからといって、下の親知らずも必ず抜くということはありません。医師の診断にもとづいて、必要な処置だけを行うのが基本ですので、ご安心ください。
Q6. 矯正治療を検討しています。親知らずは抜いたほうがよいですか?
矯正治療を予定されている場合、親知らずの抜歯を勧められることがあります。矯正治療で歯並びが整った後に親知らずが生えてくると、歯並びに再びズレが生じる可能性があるためです。抜歯の必要性については、矯正担当医と事前にご相談ください。
Q7. 親知らずの抜歯は痛いですか?
抜歯中は、局所麻酔がしっかり効いているため、基本的に痛みはほとんどありません。当院では、表面麻酔を行ったうえで注射による局所麻酔を実施しています。万が一、処置中に痛みを感じた場合も、麻酔を追加して対応いたしますのでご安心ください。
なお、麻酔の効果は2〜3時間ほどで切れますので、その後に軽度の痛みを感じることがありますが、多くの場合は処方された痛み止めで十分に抑えることが可能です。
Q8. 抜歯後に腫れることはありますか?
はい、多くの方に軽度〜中等度の腫れが見られます。これは体の自然な炎症反応によるもので、特に異常なことではありません。
腫れの程度は、親知らずの生え方や処置の内容によって変わります。腫れのピークは術後2日目頃で、1週間ほどで落ち着いていきます。大事な予定(旅行や会議など)が控えている方は、抜歯日程を避けて調整することをおすすめします。
Q9. 初診日に親知らずを抜いてもらえますか?
初診当日の抜歯は基本的に行っておりません。まずはレントゲンやCTなどによる診査・診断を行い、抜歯の可否やリスクを慎重に判断いたします。
また、強い腫れや痛みが出ている状態では麻酔が効きづらく、術後の炎症が強くなるため、まずは炎症を抑える治療を優先し、症状が落ち着いてから抜歯を行います。
Q10. 親知らずを一度に何本まで抜けますか?
基本的には1回の抜歯で1本ずつ行うことが一般的です。ただし、症例によっては上下1本ずつ、計2本を同日に抜歯することもあります。
複数本を一度に抜いてしまうと、術後の腫れや痛みによってお食事が難しくなることがあるため、患者様の状態を考慮して治療スケジュールを調整いたします。反対側の抜歯は、通常1〜2週間後に行います。
Q11. 抜歯にはどれくらい時間がかかりますか?
抜歯にかかる時間は、親知らずの生え方によって異なります。
- まっすぐ生えている場合:5〜10分程度
- 横向き・斜め、歯ぐきや骨に埋まっている場合:15〜30分程度
来院からお帰りまでの目安としては、30分〜1時間程度です。
Q12. すべての親知らずを当院で抜歯できますか?
多くのケースに対応していますが、以下のような症例では総合病院や大学病院の口腔外科へご紹介させていただく場合があります。
- 全身疾患(心臓病・糖尿病など)によるリスクが高い方
- 強い歯科恐怖症で全身麻酔が必要な方
- 親知らずが神経や血管に接している高リスク症例
必要な場合には、連携先の医療機関へ速やかにご紹介いたします。
Q13. 抜歯にともなうリスクはありますか?
まれに、下顎の親知らずを抜歯した後に、唇やあごにしびれが出ることがあります。これは親知らずが接している「下顎管」に通る神経に影響が出ることで起こる可能性があります。
当院ではリスクが考えられる場合、CTで神経との距離を正確に把握し、安全に配慮した処置を行っています。高度なリスクがある場合には、大学病院などへご紹介し、慎重な対応を行います。
Q14. 抜歯後に注意することはありますか?
術後は以下の点にご注意ください:
- 激しい運動、長時間の入浴、飲酒は控える
- 処方された抗生物質・痛み止めは必ず指示通りに服用する
- 強いうがいや、抜歯部位を指や舌で触らない
とくに抗生物質は中断すると感染リスクが高まりますので、最後まで服用してください。
Q15. 抜歯後の食事はいつから可能ですか?
麻酔の効果が切れてから(およそ2〜3時間後)お食事が可能です。抜歯当日は、刺激の強い食べ物や硬いものを避け、反対側の歯で噛むようにしてください。熱すぎるものやアルコールは避けて、消化の良い柔らかい食事をおすすめします。
Q16. 抜歯した傷口はどれくらいで治りますか?
傷口自体は通常1〜2週間程度でふさがります。ただし、抜歯後の穴が完全に埋まり、骨が再生して滑らかになるまでには1〜3ヶ月ほどかかることがあります。2週間以上経っても痛みが引かない場合や、違和感が続く場合はお早めにご連絡ください。
Q17. 抜歯後、穴に食べ物が詰まった場合はどうすればいいですか?
まずは軽くうがいをしてみてください。それでも取れない場合は、無理に指やつまようじで取り除こうとせず、当院へご来院ください。無理に触ると傷口を痛める原因になります。自然と唾液や清掃で流れる場合もありますので、焦らずご対応ください。
Q18. 抜歯後に痛みが再発することはありますか?
はい、ごくまれに「ドライソケット(歯槽骨炎)」と呼ばれる症状が起きることがあります。これは、傷口を覆う血餅(けっぺい)が剥がれてしまい、骨がむき出しになることで強い痛みを伴います。
痛みが一度おさまった後、数日してから再びズキズキとした痛みが出た場合は、ドライソケットの可能性があります。治療としては、抗生物質の軟膏や鎮痛剤を用いて、傷の自然治癒を待ちます。異変を感じた場合はすぐにご相談ください。
親知らずに関するお悩みは、つじむら歯科医院にご相談ください
親知らずは、人によって生え方や本数、症状の有無が異なるため、「抜くべきかどうか」「いつ抜いたらいいのか」といった判断に迷われる方が多くいらっしゃいます。
痛みがなくても、将来的に炎症や歯並びへの影響、手前の歯への悪影響などを引き起こす可能性があるため、親知らずは早めの診断と適切な処置が重要です。
つじむら歯科医院では、CTやレントゲンを用いた的確な診断と、経験豊富な歯科医師による安全な抜歯処置を行っております。また、親知らずに関する不安や疑問には、丁寧にわかりやすくご説明し、患者様の気持ちに寄り添った治療を心がけています。
「親知らずが気になる」「他院で抜歯を断られた」「できるだけ痛みや腫れを抑えたい」
そんな方は、ぜひ一度当院にご相談ください。