マウスピース矯正とは?基本からわかる治療のしくみ
「歯並びは気になるけれど、目立つ矯正装置には抵抗がある」「なるべく日常生活に支障なく矯正したい」
そんなお悩みをお持ちの方に、近年選ばれているのが「マウスピース矯正(インビザライン)」です。透明な素材で装着していても目立ちにくく、取り外しも可能なこの治療法は、矯正に対するハードルを大きく下げてくれました。ここでは、インビザラインの基本的な仕組みや、従来のワイヤー矯正との違い、対応できる歯並び、そして多くの方に選ばれている理由について詳しく解説します。
インビザラインってどんな矯正方法?ワイヤー矯正との違いは?
インビザラインは、アメリカ発のマウスピース型矯正治療で、薄くて透明なプラスチック製のマウスピース(アライナー)を用いて歯を少しずつ動かしていく方法です。治療前に3Dスキャンで口腔内をデジタル化し、コンピューター上で歯の動きをシミュレーション。その計画に基づいて、数週間ごとに交換するマウスピースがあらかじめ製作されます。
従来のワイヤー矯正では、ブラケットや金属製のワイヤーを歯に固定し、引っ張る力で歯を動かしていきます。一方、インビザラインは装置の取り外しが可能で、目立ちにくく、口腔内のケアもしやすいという特徴があります。
特に、金属アレルギーのある方、見た目に配慮したい方、仕事で人と接する機会の多い方にとって、インビザラインは大きなメリットがあります。
インビザライン矯正について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
どんな歯並びに効果があるの?インビザラインの適応範囲
インビザラインは、さまざまな不正咬合に対応しています。代表的な適応症例は以下の通りです。
・叢生(歯が重なり合っている状態)
・空隙歯列(すきっ歯)
・出っ歯(上顎前突)
・受け口(下顎前突)
・開咬(前歯が噛み合わない状態)
・過蓋咬合(噛み合わせが深すぎる状態)
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これらの症例の多くに対して、インビザラインは効果を発揮します。以前は「軽度な症例に限る」といわれることもありましたが、現在では技術の進化により中等度〜やや重度のケースにも対応可能になってきました。
ただし、顎の骨格自体に大きなズレがある場合や、外科的処置を必要とするケースでは、インビザライン単独では対応できない場合もあります。そのため、正確な適応判断のためには、矯正歯科での精密検査と診断が不可欠です。
マウスピース矯正が選ばれる理由とは?見た目・通院・ライフスタイルへの影響
インビザラインの最大の魅力は、見た目の自然さと日常生活への影響の少なさにあります。透明なマウスピースは、装着していても周囲にほとんど気づかれず、写真撮影や会話の際も自然な印象を保てます。特に、人前に出る機会が多い方や学生さんにとっては、大きな安心材料となるでしょう。
また、取り外しが可能な点も大きなポイントです。食事中や歯みがきの際にはマウスピースを外せるため、普段通りの食生活ができ、清掃もしやすく衛生的です。ワイヤー矯正でよくある「食べ物が詰まる」「磨きにくい」といった悩みも軽減されます。
さらに、通院頻度が少ないのも利点です。ワイヤー矯正では月1回の調整が必要ですが、インビザラインでは1~2か月に一度程度の通院で済む場合が多く、忙しい方にも続けやすい治療法です。
そしてもう一つ、治療前に3Dシミュレーションで「どのように歯が動いていくか」「最終的な仕上がりがどうなるか」を視覚的に確認できるのも、インビザラインならではの特徴です。ゴールが見えることで、患者様のモチベーションも高まりやすくなります。
どんな人がインビザラインに向いてるの?
マウスピース矯正(インビザライン)は、見た目や快適さに優れた治療法として人気ですが、すべての人に適しているわけではありません。年齢や歯並びの状態、口腔内の健康状態などによって向き・不向きがあります。治療を検討する前に、自分がインビザラインに適しているかどうかを把握しておくことが大切です。
年齢制限はある?大人・学生・子ども向けの違い
インビザラインは、永久歯が生えそろっていれば基本的に年齢に制限なく対応できます。大人になってからでも矯正は可能で、「仕事で人前に出ることが多い」「矯正中だと気づかれたくない」という方に特に選ばれています。
10代向けには「インビザライン・ティーン」という専用設計もあり、成長途中の顎や歯の動きに対応できるよう工夫されています。反対に、乳歯が残っている子どもや顎の成長が著しい年齢では適応外になることもあります。年齢よりも、歯と顎の発育状況が大きな判断材料となります。
軽度・中度の歯並びに効果的?精密検査でわかる適応判断
インビザラインは、叢生(ガタガタの歯並び)や空隙歯列(すきっ歯)、出っ歯、受け口、開咬、過蓋咬合といった様々な不正咬合に対応可能です。特に軽度から中等度の症例においては、ワイヤー矯正と同程度の効果が期待できるとされています。
近年では治療技術の進歩により、やや難易度の高い症例にも対応できるケースが増えてきました。ただし、骨格性のズレが大きいケースや、歯の移動量が多く複雑な症例では、インビザライン単独では対応が難しい場合もあります。適応かどうかは、口腔内スキャンやレントゲンなどによる精密な診断が必要です。
口腔内の状態(虫歯・歯周病)があっても大丈夫?
矯正治療を始める前に、虫歯や歯周病があると治療計画に影響を与えることがありますが、あらかじめ治療を終えていれば、インビザラインの開始は可能です。マウスピースは取り外しできるため、矯正中も歯みがきがしやすく、清潔な口腔環境を保ちやすいというメリットもあります。
一方で、進行した歯周病があると歯を動かすことで歯槽骨(しそうこつ)への負担が増し、状態を悪化させてしまうことがあります。そのため、矯正を安全に行うためには、事前の口腔内チェックが欠かせません。
まずは症例をご覧ください!
治療の流れと来院頻度|はじめての方も安心
マウスピース矯正に興味はあるけれど、「何から始めればいいの?」「通院はどのくらい必要?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。ここでは、インビザラインによる治療の一般的な流れと、来院の頻度について詳しくご紹介します。
最初のカウンセリングでは何をするの?
初回のカウンセリングでは、現在の歯並びや噛み合わせの状態を確認しながら、マウスピース矯正が適応できるかを大まかに判断します。この時点では、患者様のご希望や不安、生活スタイルも丁寧にヒアリングし、治療に対する疑問を解消していくことが目的です。
必要に応じて、口腔内の写真撮影や簡易的な模型採取を行うこともありますが、あくまで検査の前段階としての相談であり、痛みを伴う処置はありません。矯正に関する知識がなくても安心して受けられる内容となっています。
3Dスキャン・シミュレーションってどんな感じ?
本格的な診断を行う際には、口腔内を3Dスキャナーで読み取り、歯並びや噛み合わせを精密に分析します。これにより、従来の粘土のような印象材を使った型取りの不快感がなく、スムーズな診断が可能です。
このデータを元に、コンピューター上で「どの歯がどのように動くか」「最終的な仕上がりがどうなるか」といった矯正シミュレーションを作成します。視覚的に仕上がりのイメージがつかめるため、治療に対する不安が軽減され、モチベーションの維持にもつながります。
シミュレーション後、マウスピースが一括で作製され、患者様ごとに段階的に装着していく形になります。
どれくらいの期間で治療が終わるの?
治療期間は、歯並びの状態や目指すゴールによって異なりますが、平均的には約1〜2年程度が目安です。軽度の症例であれば半年ほどで終わることもありますが、複雑な症例では2年以上かかることもあります。
治療開始後は、数週間ごとにマウスピースを交換していきます。1日20時間以上の装着が基本で、装着時間を守ることが治療成功のカギとなります。
通院の頻度はどのくらい?
インビザラインの通院頻度は、一般的に4〜8週間に1回程度です。ワイヤー矯正と比べて通院回数が少ないため、仕事や学業で忙しい方にも負担が少なく、無理なく続けられるのが特長です。
通院時には、歯の動きが計画通りに進んでいるかを確認し、必要に応じて微調整や追加のマウスピースを作製します。万が一、予定通りに歯が動いていない場合も、この定期チェックによって早めの対応が可能です。
マウスピース矯正の流れは、はじめての方でもスムーズに進められるよう設計されています。事前に全体の流れや来院スケジュールを理解しておくことで、不安を軽減し、安心して治療に臨むことができます。
初回カウンセリングは無料です。お気軽にご予約ください!
気になる費用とお支払い方法について
マウスピース矯正(インビザライン)を検討する際、多くの方が最も気になるのが「費用」の問題です。目立たず快適な矯正治療である反面、「高そう」というイメージを持たれることも少なくありません。ここでは、インビザラインの一般的な費用相場や保険適用の有無、支払い方法などについて詳しく解説します。
インビザラインの相場はいくら?
インビザラインの治療費は、症例の難易度や治療期間によって大きく異なります。一般的な全体矯正(フルバージョン)では、80万円〜100万円程度が相場とされており、部分的な矯正や軽度な症例に対応する「インビザライン・ライト」や「エクスプレス」といったプランでは、40万円〜60万円程度の設定になることもあります。
費用の中には、診断料、3Dシミュレーション費用、マウスピース作製費、通院費、リテーナー(保定装置)代などが含まれている場合もあれば、それぞれが別途となっているクリニックもあります。比較する際は、単に金額だけでなく「どこまで含まれているか」を確認することが大切です。
保険は使える?医療費控除は?
インビザライン矯正は、原則として自由診療(自費診療)にあたるため、公的健康保険は適用されません。ただし、噛み合わせに明らかな機能的な障害があると診断された場合や、口蓋裂などの先天的疾患による矯正であれば、保険適用となるケースもありますが、非常に限定的です。
一方で、自費診療であっても年間10万円を超える医療費を支払った場合、「医療費控除」の対象となる可能性があります。矯正治療費も、医師による治療目的であれば控除の対象に含まれるため、確定申告の際には領収書をしっかり保管しておくとよいでしょう。対象になる金額や控除額は年収や家族構成にもよるため、詳しくは税理士や最寄りの税務署に相談するのがおすすめです。
分割払いやデンタルローンの活用法も解説
矯正治療は高額になりやすいため、一括で支払うのが難しい場合は、分割払いやデンタルローンの利用が選択肢となります。多くの歯科医院では、院内での分割対応(月々の分割払い)や、提携している信販会社を通じた医療ローンを導入しています。
デンタルローンを利用する場合、申込時に審査がありますが、金利が比較的低く設定されており、月々1万円前後の返済で計画的に治療を進めることが可能です。自分のライフスタイルや収入に合わせた無理のない支払いプランを立てることで、負担を軽減しながら治療を受けられるでしょう。
なお、分割やローンには手数料や条件があるため、事前に詳細を確認し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
インビザライン矯正は、見た目と快適さを両立した治療である一方、費用面も重要なポイントです。治療内容と費用のバランス、支払い方法の選択肢を知っておくことで、安心して矯正治療を始めることができます。
痛みや違和感はあるの?リアルな治療中のQ&A
「マウスピース矯正は痛みが少ないと聞くけど、本当?」「日常生活に支障は出ない?」
インビザライン治療を検討する方の多くが気になるのが、治療中の痛みや違和感、生活への影響です。実際に体験した方の声やよくある疑問をもとに、治療中のリアルな感覚について詳しく解説します。
マウスピースの装着時の痛みは?どれくらい続く?
インビザラインは、ワイヤー矯正と比較すると痛みが少ないといわれていますが、全く無痛というわけではありません。新しいマウスピースに交換した直後は、歯に軽い締めつけ感や押されるような感覚があり、数時間〜2日ほど軽い痛みを感じる方が多いです。
これは、歯が動いている証拠でもあり、自然な生体反応の一つです。鎮痛剤が必要なほどの強い痛みになることは稀で、日常生活に支障が出るほどではありません。むしろ、徐々に慣れていく方がほとんどです。
食事や会話に支障はある?
マウスピース矯正では、食事の際にはマウスピースを取り外すことが基本ルールです。装着したまま飲食はできないため、食事中は自由に食べられます。これにより、ワイヤー矯正にありがちな「装置に食べ物が詰まる」「硬いものが食べにくい」といった悩みはほとんどありません。
一方で、装着したまま話すことに最初は違和感を覚える方もいます。特に、サ行やタ行などの発音に軽いクセが出ることがありますが、数日〜1週間ほどで慣れるのが一般的です。発音の調整も口の筋肉が順応することで自然と改善していきます。
外していい時間はある?1日どれくらい装着するの?
インビザラインの効果をしっかり発揮させるためには、「1日20〜22時間以上」の装着が推奨されています。基本的には、食事と歯みがきの時間以外は常に装着しておく必要があります。
「少しくらい外しても大丈夫では?」と感じるかもしれませんが、装着時間が短いと歯の動きが計画通りに進まず、治療期間が延びたり、予定通りの仕上がりにならなかったりすることがあります。
特に、長時間の外出や外食が続いた場合などは、無意識に装着時間が短くなりやすいため注意が必要です。外した後はなるべく早く再装着する習慣をつけることが成功のカギとなります。
マウスピース矯正中の痛みや違和感は、ほとんどの場合が一時的で、治療を続ける中で自然と慣れていくレベルです。見た目の自然さや取り外しの自由度など、日常生活に馴染みやすい点は、従来の矯正治療にはない大きなメリットと言えるでしょう。
治療中のトラブルや不安にどう対応する?
インビザラインは快適性の高い矯正方法ですが、治療中に思わぬトラブルや不安を感じる場面がまったくないわけではありません。マウスピースを失くしたり、歯が計画通りに動かなかったりすることもあります。ここでは、実際によくあるトラブルとその対処法をQ&A形式でご紹介します。
マウスピースを失くしたら?壊れたら?
外食中や旅行先でマウスピースを紛失してしまうケースは意外と多くあります。落とした、ティッシュと一緒に捨ててしまった、ペットに噛まれた……など、よくある事例です。万が一失くしてしまった場合は、直前の段階のマウスピースに一時的に戻すか、次の段階に進めるかどうかを歯科医に相談するのが基本です。
破損した場合も同様で、自己判断せず、できるだけ早く指示を仰ぐことが大切です。歯の動きに合わせた精密な計画に基づいて進めているため、勝手に進めたり戻したりすることは避けましょう。
また、マウスピースの予備があれば一時的に代用できる場合もあるため、使用中以外のアライナーも保管方法に注意しておきましょう。
うまく動かない歯があるときは?
「装着時間を守っているのに、歯が予定通りに動いていない気がする」と感じることがあります。これは、歯の根の形状や歯肉の状態、噛み合わせの癖など、さまざまな要因で起こり得ます。
このような場合には、追加アライナー(再設計されたマウスピース)を製作し、改めて治療計画を調整することが可能です。インビザラインでは、こうした再シミュレーションや微調整も前提に含まれており、柔軟に対応できるのが大きな強みです。
むしろ、きちんと定期的に通院し、歯の動きをチェックすることで、こうした誤差に早く気づき、軌道修正が可能になります。
治療中の虫歯・歯周病になったらどうする?
インビザラインは取り外しができるため、ブラッシングがしやすく、清潔を保ちやすいというメリットがあります。しかし、油断して歯みがきを怠ったり、間食が増えてしまったりすると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
治療中に虫歯や歯周病が見つかった場合は、優先してその治療を行い、マウスピース矯正を一時中断するケースもあります。軽度であれば並行して治療可能な場合もありますが、進行具合によってはスケジュールに影響することもあるため、日頃のセルフケアと定期的なチェックが重要です。
特に、マウスピースを装着したまま甘い飲み物を摂取する習慣は虫歯リスクを高めるので避けましょう。
インビザライン治療中に起こるトラブルや疑問には、対処法があります。大切なのは、トラブルが起きたときにすぐに対応し、計画通りに矯正が進むようにすることです。自己判断せず、困ったときは必ず歯科医の指示を仰ぐようにしましょう。安心して治療を続けるためには、トラブルへの正しい知識と、日々の丁寧なケアがカギになります。
マウスピースの管理・お手入れ方法とは?
マウスピース矯正(インビザライン)は、見た目の自然さや快適さが魅力ですが、毎日使用するものだからこそ、清潔に保つことがとても大切です。正しい管理ができていないと、においや着色、細菌の繁殖につながり、口腔内トラブルの原因になることもあります。ここでは、マウスピースの正しいお手入れ方法や保管のポイントをわかりやすくご紹介します。
洗い方・保存方法は?
マウスピースは、朝と夜、1日2回以上は必ず洗浄しましょう。基本的には、水またはぬるま湯(40℃以下)で流しながら、やわらかめの歯ブラシでやさしくこすって洗うのが基本です。歯みがき粉は研磨剤が含まれているものが多く、マウスピースを傷つけてしまうため使用しないでください。
また、マウスピースを外しているときは、必ず専用のケースに入れて保管するようにしましょう。ティッシュなどに包むと、そのまま捨ててしまう恐れがありますし、空気中のホコリや雑菌が付着しやすくなります。外出時でも、ケースを持ち歩く習慣をつけておくと安心です。
においや着色を防ぐコツ
マウスピースは透明なため、見た目を清潔に保つには着色とにおい対策が重要です。特に、コーヒーや紅茶、カレーなどの色の濃い飲食物を摂取すると、着色がつきやすくなります。マウスピースを装着したままの飲食は基本NGですが、水以外の飲み物を飲むときも、一度外してから飲むようにしましょう。
また、専用の洗浄剤(タブレットタイプなど)を週に数回使用することで、着色やにおいの原因となるタンパク質や細菌をしっかり除去できます。市販されているマウスピース用の洗浄剤を活用し、定期的にケアを行うことが理想です。
定期的な交換や清掃のタイミングは?
インビザラインでは、通常1〜2週間ごとに新しいマウスピースへと交換していきますが、交換前のアライナーも破損などのトラブル時に備えて保管しておくと安心です。古いものを保管する際も、洗って乾燥させたうえで、清潔なケースにしまっておきましょう。
また、日常の洗浄だけでなく、歯みがきのタイミングでマウスピースも同時にケアする習慣をつけることで、無理なく清潔な状態を保てます。朝起きた直後や就寝前は、口腔内の細菌が増えやすいタイミングでもあるため、特に丁寧な洗浄を心がけることが大切です。
マウスピースのケアは難しいことではありませんが、少しの手間を惜しまないことで、清潔さや快適さが大きく変わります。毎日の管理を習慣化し、見た目も衛生面も安心できる矯正ライフを送りましょう。
治療後のケアと後戻り防止|リテーナーの重要性
マウスピース矯正(インビザライン)が終了した後、すべてが終わったように感じるかもしれません。しかし、「歯が動き終わった後こそ大切」といわれるのが矯正治療の本質です。矯正で整えた歯並びは、そのまま放置すると元の位置に戻ろうとする性質があります。この「後戻り」を防ぐために必要なのが、保定装置(リテーナー)です。ここでは、矯正後のケアの重要性と、リテーナーの役割について詳しく解説します。
治療後にリテーナー(保定装置)は必須?
矯正治療では、歯の位置だけでなく、周囲の骨や歯肉、筋肉も含めてバランスを整えていきます。歯を動かした直後はまだその位置が安定しておらず、放置すると元の位置に戻ってしまう「後戻り」が起きやすい状態です。
そのため、リテーナーの装着は矯正治療の一部と考える必要があります。せっかく整えた歯並びを長く維持するためには、矯正後も一定期間しっかりと保定することが不可欠です。
リテーナーの装着期間と使い方
リテーナーには、取り外しができるマウスピース型や、歯の裏側に接着するワイヤー型など、いくつかの種類があります。どのタイプを使うかは、歯並びの状態や患者さんの生活スタイルによって決まります。
装着期間の目安は、矯正にかかった期間と同程度(例:矯正に1年半かかった場合、保定も1年半以上)が基本とされています。特に治療後半年〜1年は後戻りしやすいため、1日20時間以上の装着が推奨されるケースもあります。その後、安定してきた段階で夜間のみの装着に移行し、最終的には就寝時だけで済むことが多いです。
ただし、「いつまで続けるか」は人によって異なります。歯の動きや安定度は個人差があるため、定期的なチェックを受けながら調整していくことが大切です。
後戻りを防ぐために気をつけること
後戻りのリスクは、リテーナーの装着を怠ることだけでなく、日常の癖や生活習慣にも関係します。たとえば、舌で前歯を押す癖、うつぶせ寝、頬杖などが歯に圧力をかけ、後戻りを促進してしまうことがあります。
また、親知らずの生え方や噛み合わせの変化によっても歯列に影響が出ることがあります。治療後も定期的に歯科医院でチェックを受けることで、こうしたリスクを早期に発見し、必要な対策を取ることができます。
保定期間を軽視してしまうと、せっかくの矯正効果が無駄になってしまう恐れもあります。長期的にきれいな歯並びを保つためにも、治療後のセルフケアと保定装置の正しい使用が非常に重要です。
矯正治療の「ゴール」は見た目が整ったときではなく、その状態を安定して維持できていることです。リテーナーの使用を習慣づけることが、矯正治療を成功に導く最後のステップといえるでしょう。
矯正歯科治療後の「後戻り」について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
マウスピース矯正と他の治療の併用はできる?
矯正治療を検討している方の中には、「ホワイトニングも一緒にできる?」「虫歯の治療中でも始められる?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。マウスピース矯正(インビザライン)は取り外しができるという特性があるため、他の歯科治療との併用が比較的しやすい治療法です。ここでは、インビザラインと併用可能な代表的な治療についてご紹介します。
ホワイトニングは同時にできる?
インビザラインとホワイトニングは同時に行える治療として、近年人気が高まっています。特に、インビザラインで使用するマウスピースと同じ形状のトレーに、ホワイトニング剤を入れて行う「ホームホワイトニング」は、矯正と美白を同時に進めることができる点で相性が良好です。
ただし、すべてのタイミングで行えるわけではなく、歯の動きが活発な初期の段階よりも、ある程度歯が並んできた中盤以降や、治療後の保定期間中に行う方が効果的です。歯や歯茎に問題がないことも前提となるため、ホワイトニングを希望する際は、事前に状態をチェックしておくと安心です。
虫歯治療やインプラントと併用可能?
虫歯治療との併用も基本的には可能です。矯正前に虫歯や歯周病が見つかった場合は、まずそれらを治療してから矯正をスタートするのが一般的です。軽度な虫歯であれば、治療中に並行して対応できることもありますが、詰め物や被せ物の形状が変わると、マウスピースが合わなくなる恐れがあるため注意が必要です。
また、インプラント治療については、矯正前後どちらのタイミングでも可能ですが、基本的には矯正治療が終わってからインプラントを埋入するのが推奨されます。インプラントは人工歯根であり、動かすことができないため、先にインプラントを入れてしまうと矯正計画に制限が出てしまうためです。
妊娠・授乳中の矯正はOK?
妊娠中や授乳中でも、マウスピース矯正を行うことは可能です。ただし、ホルモンバランスの変化によって歯茎が腫れやすくなったり、虫歯や歯周病のリスクが上がったりする傾向があるため、口腔内の状態をしっかり管理することが大切です。
マウスピース矯正はワイヤーと比べて痛みが少なく、緊急対応が少ないため、妊娠中の体調を考慮しながら進めやすい治療法といえます。ただし、妊娠初期のつわりが強い時期などは、型取りや装着が負担になる場合もあるため、体調が安定しているタイミングで治療を始めるのが望ましいでしょう。
マウスピース矯正は、他の歯科治療と柔軟に組み合わせることができるのが大きな特徴です。ただし、治療の順番やタイミングによっては計画の見直しが必要になることもあります。矯正だけでなく、全体の口腔環境を見据えたうえで治療計画を立てることで、より満足度の高い仕上がりにつながります。
どのクリニックを選ぶ?信頼できる医院の見極め方
マウスピース矯正(インビザライン)は、精密なデジタル技術と綿密な治療計画が求められるため、「どこで治療を受けるか」が治療結果に大きく影響します。見た目の自然さや快適性に優れた矯正法であっても、適切な診断と管理がなければ満足のいく仕上がりにはつながりません。ここでは、信頼できるクリニックを選ぶための3つのポイントをご紹介します。
インビザライン認定医って何?
インビザラインは、米国アライン・テクノロジー社が提供している矯正システムであり、メーカーが認定する「インビザライン認定医」制度があります。これは、一定の研修や実績を積んだ歯科医師に対して付与される資格であり、高度な専門知識を持ってインビザライン治療にあたることを証明するものです。
認定医であること自体が全てではありませんが、治療経験が豊富であるかどうかの目安となるため、クリニック選びの際にはひとつの指標として確認するとよいでしょう。
治療実績や口コミのチェックポイント
医院のホームページや口コミサイトなどでは、これまでの治療実績や症例写真、患者様の声などを確認することができます。特に、似たような症例にどのように対応しているかが分かると、治療後のイメージが具体的になります。
また、「説明が丁寧だった」「治療中のフォローが安心できた」といった評価が多い医院は、患者とのコミュニケーションを大切にしている証拠とも言えるでしょう。設備の新しさだけでなく、担当医師との相性やスタッフの対応も含めて、自分にとって信頼できるかどうかを総合的に判断することが大切です。
無料相談を活用しよう
多くのクリニックでは、初回カウンセリングや相談を無料で実施しています。こうした機会を活用することで、歯科医師との相性や医院の雰囲気を体感できるほか、自分の歯並びがどのように変化するかをイメージしやすくなります。
相談時には、治療の流れだけでなく、費用や通院スケジュール、装着時間、リスクなどについても丁寧に説明してもらえるかどうかをチェックしましょう。不安や疑問にしっかり答えてくれる医院は、治療後まで安心して通えるパートナーとなってくれるはずです。
マウスピース矯正は「どこで受けるか」が結果に直結します。通いやすさや料金だけでなく、医師の知識・技術・対応力までを総合的に見て、自分に合った医院を選ぶことが、後悔のない矯正治療への第一歩です。
インビザラインをご検討の方へ
つじむら歯科医院では、丁寧なカウンセリングと精密な診断をもとに、患者様一人ひとりに合ったマウスピース矯正をご提案しています。初めての方も安心してご相談いただける無料カウンセリングも実施しておりますので、矯正をお考えの方はお気軽にお問い合わせください。
つじむら歯科医院の無料カウンセリングをぜひご利用ください。
伊勢原市にある再発率0%を追求した見えない非抜歯専門クリニック
『 つじむら歯科医院 』
住所:神奈川県伊勢原市小稲葉2204−1
TEL:0463-95-8214
【監修者情報】
つじむら歯科医院グループ総院長 辻村 傑
【略歴】
1993年 神奈川歯科大学 卒業
1995年 つじむら歯科医院 開業
1997年 医療法人社団つじむら歯科医院 開設
2008年 神奈川歯科大学生体管理医学講座 薬理学分野大学院
2010年 南カリフォルニア大学卒後研修コース修了
2010年 南カリフォルニア大学客員研究員
2010年 南カリフォルニア大学アンバサダー(任命大使)
2012年 ハートフルスマイルデンタルクリニック茅ヶ崎 開業
2012年 UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校卒後研修コース修了
2013年 インディアナ大学 歯周病学インプラント科客員講師
2014年 インディアナ大学医学部解剖学 顎顔面頭蓋部臨床解剖 認定医
2017年 iDHA 国際歯科衛生士学会 世界会長就任
2020年 iACD 国際総合歯科学会 日本支部会長
【所属】
IIPD国際予防歯科学会認定医
日本抗加齢医学会認定医
日本歯科人間ドック学会認定医
日本口腔医学会認定医
セカンドオピニオン専門医
DGZI国際インプラント学会認定医
日本咀嚼学会会員
日本保存学会会員
日本全身咬合学会会員
日本口腔インプラント学会会員
国際歯周内科学研究会会員
日本口腔内科学研究会会員
日本床矯正研究会会員
神奈川矯正研究会会員
日本臨床唾液学会会員
NPO法人歯と健康を守ろう会会員
日本ヘルスケア歯科研究会会員
伊勢原市中央保育園学校歯科医
日本食育指導士
健康咀嚼指導士