コラム

2026.09.11

舌で前歯を押す癖は歯並びに影響する?舌癖と矯正治療の関係

舌で前歯を押す癖は歯並びに影響する?舌癖と矯正治療の関係

「舌で前歯を押している」「飲み込むときに舌が前に出る」といった癖が気になっていませんか。このような舌の使い方は「舌癖」と呼ばれ、長期間続くことで歯並びや噛み合わせに影響する可能性があります。ただし、舌癖だけが歯並びを悪くする原因とは限りません。
本記事では、舌癖と歯並びの関係や原因、セルフチェック、改善方法、矯正治療について分かりやすく解説します。

1.舌癖とは?歯並びに関係する舌の癖

「気づくと舌で前歯を押している」「食べ物や飲み物を飲み込むときに舌が前へ出る」といった癖はありませんか。このような舌の位置や動かし方の癖は「舌癖(ぜつへき)」と呼ばれ、長期間続くことで歯並びや噛み合わせに影響する可能性があります。

舌癖は無意識に行っていることも多く、自分では気づきにくい場合があります。まずは、舌癖とはどのような状態なのか、普段の舌の位置とあわせて確認していきましょう。

舌癖とはどのような状態?

舌癖とは、舌で前歯を押したり、飲み込むときに舌を前方へ突き出したりするなど、舌の位置や使い方に偏りがある状態を指します。特に、上下の前歯の間に舌を出すような動きが習慣になっている場合は、歯に継続的な力が加わることがあります。

舌は筋肉でできており、食事や会話、飲み込みなど日常生活のさまざまな場面で動いています。そのため、一回一回の力は小さくても、毎日のように同じ方向へ力が加わることで、歯の位置や噛み合わせに影響する可能性があります。

ただし、舌癖があるからといって、必ず歯並びが悪くなるとは限りません。歯並びには、顎と歯の大きさ、骨格、遺伝的な要素なども関係しています。

正しい舌の位置とは

安静時の舌は、舌先が上の前歯のすぐ後ろ付近にあり、舌全体が上顎に軽く触れている状態が基本とされています。このとき、舌先で前歯を強く押さないことがポイントです。

一方で、舌が下の歯の内側に落ちていたり、前歯に常に触れていたりする場合は、舌の位置に偏りがある可能性があります。また、飲み込むたびに舌で前歯を押す状態が続いている場合も、歯並びへの影響を考える必要があります。

舌は歯列の内側から力を加えるため、唇や頬が外側から加える力とのバランスも重要です。このバランスが長期間崩れると、歯が前方へ傾いたり、上下の歯が噛み合いにくくなったりすることがあります。

自分では舌癖に気づきにくいことも

舌癖は、長年の習慣になっていると自分では気づきにくいことがあります。普段は意識していなくても、飲み込むときに舌が前へ出ている、気づくと前歯を舌で押しているといった状態がみられることがあります。

子どもの場合は、保護者が食事中や会話中の舌の動きに気づくこともあります。また、前歯が噛み合わない、出っ歯が気になるなどの歯並びをきっかけに、舌癖が見つかるケースもあります。

舌癖と歯並びは互いに関係している場合があるため、「舌を出さないようにすればよい」と自己判断するだけでは十分とは限りません。舌の位置や使い方だけでなく、歯並びや噛み合わせも含めて確認することが大切です。

2.舌で前歯を押す癖は歯並びに影響する?

舌で前歯を押す癖があると、「このまま続けると歯並びが悪くなるの?」と心配になる方もいるでしょう。舌癖があるからといって必ず歯並びが乱れるわけではありませんが、舌から歯へ継続的に力が加わることで、歯の位置や噛み合わせに影響する可能性があります。

特に、舌で前歯を押す状態や、飲み込むときに舌を前方へ突き出す動きが長期間続いている場合は注意が必要です。

舌から歯には力が加わっている

歯は顎の骨の中に固定されているため、「舌で押したくらいでは動かない」と思うかもしれません。しかし、歯は継続的に力を受けることで少しずつ位置が変化することがあります。矯正治療も、この性質を利用して歯を計画的に動かしています。

普段の歯並びには、舌が内側から加える力と、唇や頬が外側から加える力などが関係しています。安静時に舌が適切な位置にあり、唇が自然に閉じていることで、それぞれの力のバランスが保たれます。

一方、舌先がいつも前歯に触れていたり、飲み込むたびに前歯を押したりしていると、特定の方向へ繰り返し力が加わることになります。

長期間の舌癖が歯並びに影響することがある

舌で前歯を押す癖が長期間続くと、前歯が少しずつ前方へ傾いたり、上下の前歯が噛み合いにくくなったりする可能性があります。

たとえば、飲み込むときに上下の前歯の間へ舌を押し出す癖が続いている場合には、前歯が噛み合わずにすき間ができる「開咬」と関係することがあります。また、舌が上の前歯を前方へ押し続けることで、出っ歯のような歯並びに関係する場合もあります。

特に子どもは顎や歯列が成長途中にあるため、舌癖だけでなく、舌の位置や飲み込み方、口呼吸などの習慣についても確認することが大切です。

舌癖だけが歯並びの原因とは限らない

舌癖と歯並びには関係がみられることがありますが、「舌で前歯を押したから歯並びが悪くなった」と単純に判断することはできません。

歯並びには、顎と歯の大きさや骨格、遺伝的な要素、永久歯が生えてくる位置など、さまざまな要因が関係しています。また、反対に前歯が噛み合わないなどの歯並びによって、舌が前方へ出やすくなっているケースもあります。

そのため、舌癖だけを直そうとするのではなく、舌癖が生じている原因や現在の歯並び、噛み合わせまで含めて確認することが重要です。舌で前歯を押す癖と歯並びの両方が気になる場合は、歯科医院でお口全体の状態を確認してもらうとよいでしょう。

3.舌癖によって起こることがある歯並び

舌で前歯を押したり、飲み込むときに舌を前方へ突き出したりする舌癖が長期間続くと、歯に繰り返し力が加わり、歯並びや噛み合わせに影響する可能性があります。

舌癖と関連してみられることがある代表的な歯並びには、開咬や出っ歯、すきっ歯などがあります。ただし、これらの歯並びは舌癖だけで起こるとは限らず、顎の骨格や歯の大きさなど、ほかの要因が関係していることもあります。

開咬

開咬(かいこう)とは、奥歯を噛み合わせても上下の前歯が接触せず、前歯の間にすき間ができている状態です。舌癖との関係を考えるうえで、特に注意したい歯並びの一つです。

食べ物や飲み物を飲み込むときに、上下の前歯の間へ舌を押し出す癖が続いていると、前歯に繰り返し力が加わります。また、何もしていないときにも舌が前歯の間にある場合は、その状態が長時間続くことになります。

開咬になると、見た目だけでなく、前歯で食べ物を噛み切りにくくなるなど、噛む機能に影響する場合があります。ただし、開咬には指しゃぶりや骨格などが関係するケースもあるため、原因を詳しく確認することが大切です。

開咬について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

出っ歯(上顎前突)

舌で上の前歯を前方へ押す状態が習慣になっていると、出っ歯(上顎前突)と呼ばれる歯並びに関係することがあります。

歯は弱い力であっても一定方向から長時間・繰り返し力を受けることで、位置や傾きに影響が生じる可能性があります。そのため、舌先が常に上の前歯に触れている場合や、飲み込むたびに前歯を押している場合には注意が必要です。

一方で、出っ歯には上の前歯の傾きだけでなく、上下の顎の位置関係などが関係しているケースもあります。舌癖だけを改善すれば出っ歯が自然に治るとは限らないため、歯並びや骨格も含めて確認することが重要です。

出っ歯 (上顎前突)について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

すきっ歯などに関係することも

舌で前歯を押す癖は、歯と歯の間にすき間がある「空隙歯列(すきっ歯)」と関係することもあります。舌から前歯へ継続的に力が加わることで、歯が前方や左右へ移動し、歯と歯の間にすき間が生じる場合があります。

ただし、すきっ歯にも歯の大きさや本数、顎とのバランスなどさまざまな原因があります。また、すでに歯と歯の間にすき間があることで、そこへ舌を入れる癖がついているケースも考えられます。

舌癖と歯並びは、どちらが先に起こったのか判断しにくい場合もあります。開咬や出っ歯、すきっ歯などがあり、舌で前歯を押す癖も気になる場合は、舌の使い方だけでなく歯並びや噛み合わせまで総合的に確認することが大切です。

4.舌癖があるかセルフチェック

舌癖は無意識に行っていることが多いため、「自分には舌癖はない」と思っていても、実際には舌で前歯を押していることがあります。特に、食べ物や飲み物を飲み込むときや、何もしていないときの舌の位置は、自分では確認しにくいものです。

舌癖が気になる場合は、普段の舌の位置や飲み込み方、口元の状態をチェックしてみましょう。ただし、セルフチェックだけで舌癖の有無や歯並びへの影響を判断することはできません。

飲み込むときに舌が前へ出る

まず確認したいのが、食べ物や飲み物、唾液を飲み込むときの舌の動きです。飲み込むたびに舌先が上下の前歯の間から出たり、舌で前歯を強く押したりしている場合は、舌癖がみられる可能性があります。

また、飲み込むときに唇へ強く力が入る、口元が大きく動くといった場合も、舌や口周りの筋肉の使い方を確認したいサインの一つです。

飲み込む動作は一日に何度も繰り返されます。そのたびに舌が前歯を押していると、継続的な力が歯に加わり、歯の位置や噛み合わせに影響する可能性があります。

安静時に舌が前歯に触れている

食事や会話をしていないときの舌の位置もチェックしてみましょう。安静時には、舌先が上の前歯のすぐ後ろ付近にあり、舌全体が上顎に軽く触れている状態が基本です。

何もしていないときに舌先が前歯に触れている、上下の前歯の間に舌が入り込んでいる、舌が下の歯の内側にあるといった場合は、舌の位置に偏りがある可能性があります。

特に舌が前歯に触れている状態は長時間続きやすいため、歯並びへの影響を考えるうえでも確認しておきたいポイントです。

発音や口元にもサインがみられることがある

舌癖がある場合には、舌の位置だけでなく、発音や口元の状態に特徴がみられることもあります。舌を使って発音する音が不明瞭に感じられたり、話すときに舌が前歯の間から見えたりするケースがあります。

また、いつも口がぽかんと開いている、唇を閉じると顎や口元に力が入るといった状態がみられる場合は、口呼吸や歯並びなどが関係している可能性もあります。

「舌で前歯を押している」「飲み込むときに舌が出る」「舌がいつも前歯に触れている」などが気になる場合でも、それだけで歯並びへの影響を判断することはできません。舌癖の原因や歯並び、噛み合わせ、口呼吸の有無なども含めて、歯科医院で確認してもらうとよいでしょう。

5.子どもに舌癖がみられる主な原因

子どもが舌で前歯を押していたり、飲み込むときに舌を前へ出していたりすると、「どうしてこんな癖がついたの?」と気になる方もいるでしょう。舌癖は単なる癖として身につくとは限らず、指しゃぶりや口呼吸、歯並びなど、さまざまな要因が関係している場合があります。

特に子どもは顎や歯列が成長途中にあるため、舌の動きだけを見るのではなく、舌癖が生じている背景まで確認することが大切です。

指しゃぶりなどの口腔習癖

子どもの舌癖に関係する要因の一つとして、指しゃぶりなどの口腔習癖が挙げられます。乳幼児期の指しゃぶりは珍しいものではありませんが、成長してからも長期間続くと、前歯や顎に継続的な力が加わることがあります。

その結果、上下の前歯が噛み合わない開咬などの歯並びにつながり、前歯の間にできたすき間へ舌を入れる癖がつくことがあります。もともとの習慣によって歯並びが変化し、その歯並びによってさらに舌が前へ出やすくなるケースも考えられます。

そのため、舌を前へ出すことだけを注意するのではなく、指しゃぶりなどほかの習慣が続いていないかも確認してみましょう。

口呼吸や鼻づまりとの関係

口呼吸も舌の位置と関係することがあります。通常、安静時には舌全体が上顎に軽く触れている状態が基本ですが、口から呼吸するためには空気の通り道を確保する必要があり、舌が低い位置になりやすいことがあります。

また、アレルギー性鼻炎などによって鼻が詰まり、鼻呼吸をしにくいことが口呼吸につながっている場合もあります。こうした状態では、本人に「舌を正しい位置に戻そう」「口を閉じよう」と伝えるだけでは改善が難しいことがあります。

いつも口がぽかんと開いている、寝ているときにも口が開いている、鼻づまりが続いているといった様子がみられる場合は、舌癖だけでなく呼吸の状態についても確認することが大切です。

歯並び・顎の状態が関係している場合も

舌癖が歯並びに影響することがある一方で、もともとの歯並びや顎の状態によって舌癖が生じているケースもあります。

たとえば、上下の前歯が噛み合わずにすき間があると、そのスペースへ舌を入れることが習慣になる場合があります。また、歯列や顎の形によって舌を適切な位置に保ちにくいことも考えられます。

このように、子どもの舌癖には複数の要因が関係していることがあります。「舌で前歯を押す癖をやめさせればよい」と考えるのではなく、指しゃぶりや口呼吸、鼻の状態、歯並び、噛み合わせなどを総合的に確認し、原因に合わせて対応することが重要です。

6.大人にも舌癖はある?

舌癖というと子どもに多いイメージがあるかもしれませんが、大人にもみられることがあります。子どもの頃から続いている舌の使い方がそのまま習慣になっていたり、歯並びや噛み合わせの状態によって舌の位置が安定しにくかったりするケースもあります。

大人の場合は長年同じ舌の使い方をしているため、自分では「癖」と認識していないことも少なくありません。矯正治療を検討したことをきっかけに、舌で前歯を押す癖に初めて気づく場合もあります。

子どもの頃からの癖が残っているケース

子どもの頃に身についた舌癖が改善されないまま、大人まで続いているケースがあります。たとえば、飲み込むときに舌を前へ突き出す、何もしていないときに舌先が前歯に触れているといった状態です。

こうした舌の動きは毎日の習慣になっているため、自分で意識する機会がほとんどないこともあります。鏡を見ているときには舌を正しい位置に置けていても、食事や会話、唾液を飲み込むときなど、無意識の場面では舌で前歯を押していることも考えられます。

舌癖が長期間続いている場合は、歯並びや噛み合わせに影響している可能性もあるため、現在の舌の位置や使い方を確認することが大切です。

歯並びによって舌の位置が安定しにくいことも

大人の舌癖は、単純に「昔からの癖」だけが原因とは限りません。現在の歯並びや噛み合わせによって、舌を適切な位置に置きにくくなっている場合もあります。

たとえば、上下の前歯が噛み合わない開咬があると、前歯の間に舌が入りやすくなることがあります。また、歯列の状態によって舌を置くスペースが十分でない場合なども、舌の位置や動かし方に影響する可能性があります。

つまり、「舌癖があるから歯並びが乱れた」という一方向の関係だけではなく、歯並びや噛み合わせが舌の位置に影響し、舌癖につながっているケースも考えられます。

大人になってから気づくケースもある

大人になってから、前歯の突出やすき間、噛み合わせなどが気になり、歯科医院を受診したことで舌癖に気づく方もいます。また、矯正治療の相談時に舌の位置や飲み込み方を確認し、舌で前歯を押す癖を指摘されるケースもあります。

特に矯正治療を検討している場合は、歯を動かすことだけでなく、舌癖など歯並びに影響する可能性のある習慣についても確認することが重要です。舌の力が継続的に歯へ加わっていると、矯正治療後の歯並びの安定に影響する可能性もあるためです。

大人の舌癖も、「長年の癖だから仕方がない」と自己判断する必要はありません。舌の位置や使い方、歯並び、噛み合わせを確認したうえで、必要に応じて改善方法や矯正治療について歯科医院で相談するとよいでしょう。

舌で前歯を押す、飲み込むときに舌が前へ出る、前歯の噛み合わせが気になるなどのお悩みは、お気軽にご相談ください。

7.舌癖をそのままにするとどうなる?

舌で前歯を押す、飲み込むときに舌を前へ突き出すといった舌癖があっても、痛みなどの症状がなければ「そのままでも大丈夫なのでは?」と思うかもしれません。しかし、舌癖が長期間続くと、歯並びや噛み合わせに影響する可能性があります。

また、すでに矯正治療を受けた方の場合は、舌から歯へ継続的に力が加わることが、治療後の歯並びの安定に影響する場合もあります。舌癖だけに注目するのではなく、なぜそのような舌の使い方になっているのかを確認することが大切です。

歯並びや噛み合わせへの影響

舌癖によって歯へ繰り返し力が加わると、前歯の位置や傾き、上下の歯の噛み合わせなどに影響する可能性があります。特に、舌で上の前歯を前方へ押す癖や、上下の前歯の間へ舌を出す癖が長期間続いている場合は注意が必要です。

たとえば、前歯が前方へ傾いて出っ歯のような状態になったり、上下の前歯が噛み合わない開咬につながったりすることがあります。また、舌から加わる力の方向によっては、歯と歯の間にすき間が生じることも考えられます。

ただし、これらの歯並びは舌癖だけで起こるとは限りません。骨格や顎と歯の大きさ、遺伝的な要素なども関係するため、舌癖があるという理由だけで原因を決めつけないことが重要です。

矯正後の後戻りに関係する可能性

舌癖は、これから矯正治療を始める方だけでなく、すでに矯正治療を終えた方にも関係することがあります。矯正治療によって歯並びを整えても、舌で前歯を押す癖が残っていると、治療後の歯に継続的な力が加わる可能性があるためです。

矯正治療後の歯は、元の位置へ戻ろうとする「後戻り」が起こることがあります。そのため、治療後はリテーナー(保定装置)を使用して、歯並びを安定させる期間が設けられます。

舌癖がある場合には、リテーナーを適切に使用することに加えて、必要に応じて舌の位置や飲み込み方についても確認することが大切です。矯正後の歯並びを安定させるためには、歯だけではなく、口周りの習慣にも目を向ける必要があります。

舌癖だけでなく原因を確認することが大切

舌癖に気づいたからといって、「舌で前歯を押さないようにしよう」と意識するだけで改善できるとは限りません。舌癖の背景には、口呼吸や鼻づまり、歯並び、噛み合わせ、これまでの口腔習癖などが関係している場合があります。

また、舌癖によって歯並びが変化している場合もあれば、もともとの歯並びによって舌を前へ出しやすくなっている場合もあります。そのため、舌癖と歯並びのどちらか一方だけに原因を求めるのではなく、お口全体の状態を確認することが重要です。

舌で前歯を押す癖が続いている、前歯が噛み合わない、矯正後の歯並びが変化してきたなど気になることがある場合は、自己判断で放置せず、歯科医院で舌の使い方や歯並び、噛み合わせを確認してもらうとよいでしょう。

8.舌癖は自分で治せる?改善方法について

舌で前歯を押す癖に気づくと、「意識して舌を正しい位置に戻せば治せるのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、舌癖は長期間にわたって無意識に繰り返していることが多く、自分で意識するだけでは改善が難しい場合があります。

また、舌癖の背景に口呼吸や歯並び、噛み合わせなどが関係している場合には、舌の位置だけを直そうとしても十分ではありません。舌癖を改善するためには、現在の舌の使い方を確認し、その原因に合わせて対応することが大切です。

舌の位置を意識するだけでは難しいことも

舌癖がある場合、まずは普段の舌の位置を意識することが大切です。何もしていないときに舌先が前歯を押していないか、飲み込むときに舌が前へ出ていないかなどを確認してみましょう。

ただし、舌は食事や会話、飲み込みなどで一日のうちに何度も動かします。起きている間ずっと舌の位置を意識し続けることは難しく、気づかないうちに元の使い方へ戻ってしまうこともあります。

特に、子どもの頃から続いている舌癖は本人にとって自然な動きになっている場合があります。そのため、「前歯を押さないようにする」と意識するだけではなく、正しい舌の位置や動かし方を身につけていくことが重要です。

MFT(口腔筋機能療法)とは

舌癖への対応方法の一つに、MFT(口腔筋機能療法)があります。MFTとは、舌や唇、頬など口周りの筋肉の使い方を確認し、適切な舌の位置や飲み込み方などを身につけるために行うトレーニングです。

たとえば、安静時に舌を適切な位置へ置く練習や、舌を前へ押し出さずに飲み込む練習などを行います。患者さんの年齢や舌癖の状態、歯並びなどによって必要なトレーニングは異なります。

MFTを行えばすべての歯並びが自然に改善するわけではありません。すでに歯の位置や噛み合わせに問題がある場合には、矯正治療など別の治療が必要になることもあります。舌癖と歯並びの両方を確認したうえで、必要な対応を検討することが大切です。

原因に合わせた対応が必要

舌癖を改善するうえで重要なのは、「なぜ舌がその位置にあるのか」を確認することです。たとえば、口呼吸が続いている場合には、舌が低い位置になりやすいことがあります。また、鼻づまりがある場合には、鼻呼吸をしにくいことが口呼吸につながっている可能性もあります。

一方、開咬などの歯並びによって前歯の間にすき間があり、そこへ舌を入れることが習慣になっているケースもあります。このような場合は、舌癖だけに対応するのではなく、歯並びや噛み合わせについても検討する必要があります。

舌癖の原因や状態は一人ひとり異なるため、自己流のトレーニングだけで改善しようとせず、気になる場合は歯科医院で相談してみましょう。舌の位置や動かし方、歯並び、噛み合わせなどを確認し、必要に応じてMFTや矯正治療など、その方に合った方法を検討することが大切です。

9.舌癖による歯並びは矯正治療で改善できる?

舌で前歯を押す癖によって歯並びや噛み合わせに影響が生じている場合、「舌癖を治せば歯並びも元に戻るの?」と疑問に思う方もいるでしょう。舌癖への対応は大切ですが、すでに歯の位置が変化している場合には、舌の使い方を改善するだけで歯並びが自然に整うとは限りません。

歯並びの状態によっては、舌癖への対応とあわせて矯正治療を検討することがあります。大切なのは、歯だけを動かすのではなく、舌癖が生じている原因や噛み合わせまで確認したうえで治療方法を考えることです。

歯並び・噛み合わせを確認して治療する

舌癖がある方の矯正治療では、まず現在の歯並びや噛み合わせを詳しく確認します。舌で前歯を押す癖がある場合でも、開咬や出っ歯、すきっ歯など、現れている歯並びは人によって異なるためです。

また、歯の傾きだけが原因なのか、上下の顎の位置や骨格にも問題があるのかによって、適した治療方法は変わります。そのため、「舌癖があるからこの矯正方法」と一律に決めることはできません。

検査によって歯や顎の状態を確認し、どのような原因が歯並びに関係しているのかを把握したうえで、一人ひとりに合わせた治療計画を立てることが重要です。

舌癖への対応も一緒に考える

矯正治療によって歯を適切な位置へ動かしても、舌で前歯を押す癖がそのまま残っている場合には、歯に継続的な力が加わる可能性があります。そのため、舌癖が認められる場合には、歯を動かすことだけではなく、舌の位置や飲み込み方についても確認することが大切です。

必要に応じて、前の章で紹介したMFT(口腔筋機能療法)などを取り入れ、舌や唇など口周りの筋肉の使い方を整えていくこともあります。

また、矯正治療後は歯並びを安定させるためにリテーナー(保定装置)を使用します。舌癖がある場合には、リテーナーを適切に使用するとともに、舌の使い方にも目を向けることが、治療後の歯並びを維持するうえで重要です。

インビザラインが選択肢になるケース

舌癖に関連して歯並びが乱れている場合、症例によってはマウスピース型矯正装置「インビザライン」が治療の選択肢になることがあります。インビザラインは、透明に近いマウスピースを段階的に交換しながら歯を動かしていく矯正方法です。

装置が目立ちにくく、食事や歯磨きの際には取り外せることが特徴ですが、すべての歯並びに適しているわけではありません。舌癖による開咬や出っ歯などについても、歯の移動量や骨格、噛み合わせなどによって適応が異なります。

また、インビザラインで歯並びを整える場合でも、舌癖そのものへの対応が不要になるわけではありません。歯並びと舌の使い方の両方を確認し、必要に応じてMFTなどを組み合わせながら治療を進めることが大切です。

舌で前歯を押す癖があり、開咬や出っ歯、すきっ歯なども気になっている方は、まず歯科医院で現在の状態を確認してもらいましょう。矯正治療が必要か、インビザラインが適しているかを含めて相談することで、自分に合った改善方法を検討できます。

インビザライン矯正について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

実際に矯正治療を行った症例を見てみませんか?

10.舌癖と歯並びが気になる方へ

「舌で前歯を押している気がする」「子どもが飲み込むときに舌を出している」「前歯が出てきたように感じる」など、舌癖と歯並びの両方が気になっている方もいるでしょう。

舌癖は無意識に行っていることが多く、自分では気づきにくい習慣の一つです。また、舌癖が歯並びに影響する場合がある一方で、もともとの歯並びや噛み合わせによって舌が前へ出やすくなっているケースもあります。気になる症状がある場合は、舌だけを見るのではなく、お口全体の状態を確認することが大切です。

舌で前歯を押す癖を自己判断で放置しない

舌で前歯を押す癖があっても、痛みや不快感がなければ、そのままにしてしまうこともあるかもしれません。しかし、舌から歯へ継続的に力が加わることで、前歯の位置や噛み合わせに影響する可能性があります。

特に、上下の前歯の間へ舌を出す、飲み込むたびに前歯を押す、何もしていないときにも舌先が前歯に触れているといった状態が続いている場合は、一度確認しておくとよいでしょう。

ただし、「舌が前歯に触れているから歯並びが悪くなる」と自己判断することもおすすめできません。舌癖と歯並びにはさまざまな要因が関係しているため、現在の状態を正しく把握することが重要です。

舌の位置と歯並びを総合的に確認する

舌癖について考えるときは、舌の位置や飲み込み方だけでなく、歯並びや噛み合わせ、口呼吸の有無などもあわせて確認する必要があります。

たとえば、口呼吸によって舌が低い位置になっている場合や、開咬によって前歯の間に舌を入れやすくなっている場合もあります。また、子どもでは指しゃぶりなどの口腔習癖が関係しているケースも考えられます。

舌癖の背景に別の原因がある場合、舌を前へ出さないよう意識するだけでは十分な改善につながらないことがあります。原因に応じて、舌や口周りの筋肉の使い方を整えるMFT(口腔筋機能療法)や、歯並び・噛み合わせに対する治療などを検討することが大切です。

矯正治療が必要か歯科医院で相談する

舌癖によってすでに歯並びや噛み合わせに変化がみられる場合は、矯正治療が選択肢になることがあります。開咬や出っ歯、すきっ歯などの状態によっては、インビザラインをはじめとした矯正治療を検討できるケースもあります。

ただし、舌癖がある方すべてに矯正治療が必要なわけではなく、インビザラインがすべての症例に適しているわけでもありません。歯並びや噛み合わせ、骨格、舌癖の状態などを確認したうえで、一人ひとりに合った治療方法を検討します。

また、矯正治療を行う場合も、歯を整えるだけではなく、必要に応じて舌癖への対応を並行して行うことが重要です。舌で前歯を押す癖や飲み込み方が気になる方、歯並びへの影響が心配な方は、自己判断で放置せず、まずは歯科医院で相談してみましょう。

 

口呼吸や歯並びでお悩みの方へ
歯並びや噛み合わせの状態を確認し、一人ひとりに合った治療方法をご提案します。

 

 

 

神奈川県伊勢原市の
見えない矯正歯科治療専門外来/マウスピース矯正(インビザライン)
『 つじむら歯科医院 伊勢原 』
住所:神奈川県伊勢原市小稲葉2204−1
TEL:0463-95-8214

 

【監修者情報】
つじむら歯科医院グループ総院長 辻村 傑 

《公式facebookアカウント》

【略歴】
1993年 神奈川歯科大学 卒業
1995年 つじむら歯科医院 開業
1997年 医療法人社団つじむら歯科医院 開設
2008年 神奈川歯科大学生体管理医学講座 薬理学分野大学院
2010年 南カリフォルニア大学卒後研修コース修了
2010年 南カリフォルニア大学客員研究員
2010年 南カリフォルニア大学アンバサダー(任命大使)
2012年 ハートフルスマイルデンタルクリニック茅ヶ崎 開業
2012年 UCLAカリフォルニア大学ロサンゼルス校卒後研修コース修了
2013年 インディアナ大学 歯周病学インプラント科客員講師
2014年 インディアナ大学医学部解剖学 顎顔面頭蓋部臨床解剖 認定医
2017年 iDHA 国際歯科衛生士学会 世界会長就任
2020年 iACD 国際総合歯科学会 日本支部会長

【所属】
IIPD国際予防歯科学会認定医
日本抗加齢医学会認定医
日本歯科人間ドック学会認定医
日本口腔医学会認定医
セカンドオピニオン専門医
DGZI国際インプラント学会認定医
日本咀嚼学会会員
日本保存学会会員
日本全身咬合学会会員
日本口腔インプラント学会会員
国際歯周内科学研究会会員
日本口腔内科学研究会会員
日本床矯正研究会会員
神奈川矯正研究会会員
日本臨床唾液学会会員
NPO法人歯と健康を守ろう会会員
日本ヘルスケア歯科研究会会員
伊勢原市中央保育園学校歯科医
日本食育指導士
健康咀嚼指導士

TOPへ戻る
TEL.0463-95-8214 初診専用WEB予約 TEL.0463-95-8214 初診専用WEB予約 アクセス・診療時間